ブックタイトルICT-Education_No.52
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ICT-Education_No.52
がここ数年格段に増加し,中学生がさまざまな情報の波の中で生きている現実があるからである。第二に,中学校教育は国民が等しく受ける義務教育だからである。世界の情報化は,OECDが義務教育終了段階の15歳を対象にコンピュータを使用した調査をするまでに至り,急速な速度で進展している。情報化の波は,義務教育段階から,情報の特徴と情報化社会の特質を理解し,情報機器や情報通信ネットワークなどを適切に活用して情報を収集・処理・表現する基本的な能力を養うことを必要としているのである。第三に,将来,多様な文化・言語の世界の人々と接する機会が,現在の大人に比べて格段に増加する中学生にとって,強く求められる能力の一つがコミュニケーション能力だからである。とくに,コミュニケーション手段の発達を理解し,情報機器や情報通信ネットワークを活用して効果的にコミュニケーションを行う基本的な能力を養うことは,義務教育段階で必須だからである。しかしながら,現在の「技術・家庭科」においては,中学校3年間で学ぶ内容が全体で八つあり,その一つとして「情報に関する技術」が設定されているに過ぎない。しかも,その内容は,(1)「情報通信ネットワークと情報モラル」(2)「ディジタル作品の設計・制作」(3)「プログラムによる計測・制御」の三つからなり,情報を社会との関わりの中で学ぶ内容が乏しい。やはり,積極的に情報社会に参画する態度の基本を育てるために,教科「情報」の科目「社会と情報」の内容を中学生という発達段階に合わせて適切に取り入れ,新教科を設置するべきである。そのことによって,高等学校の教科「情報」の内容もさらに質の高いものにすることができる。3.教科「情報」における問題解決まとめにかえて,科目「情報の科学」でおもに扱う「問題解決」について簡単にふれたい。科目「情報の科学」では,問題解決を行うために情報と情報技術を効果的に活用する学習活動や,その基盤となる科学的な考え方が重視されている。この,問題解決について学ぶ学習は,わずかに旧学習指導要領の「情報B」などに見られるが,これまでの日本の初等・中等教育には見られなかったタイプの学習である。私は,この学習は現代社会において非常に重要であり,より質を高めて教科「情報」における必修の学習内容とすべきと考える。そもそも,問題解決のためには,高等学校の発達段階に合わせて,論理の基礎を学ぶと共に,「推論の方法」,「発想を広げる方法」などの「考察を深く広く」するための学習,「問題とは何か」,「問題の発見」という問題解決の基本的なことがら,「目標の設定」,「解決策の立て方」,「問題解決の組織的な進め方」などについて,より十分な時間をとって学ぶ必要がある。それらの学習が十分に行われてこそ,「問題の解決と処理手順の自動化」や「モデル化とシミュレーション」,「情報通信ネットワークと問題解決」,「情報の蓄積・管理とデータベース」,「問題解決の評価と改善」などの学習指導要領の内容が生きてくるのである。つまり,現在の科目「情報の科学」を知識基盤社会の高等学校の必修科目として,よりふさわしいものとするためには,さらに根本に立ち返って内容を再構成する必要があると考える。その点からも,科目「社会と情報」の内容の多くを中学校に移行し,教科「情報」の学習内容をより深くするべきであることを改めて述べておきたい。最後に,教科「情報」を担当する先生方に心からエールをおくりたい。5