ブックタイトルICT-Education_No.53
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ICT-Education_No.53
入念な準備と情報収集が必要である。なお,校内で十分な冊数が確保できない場合は,学校間の図書館のネットワークを使って周辺の高等学校から貸し出しをしていただいている。授業の中での最初のステップである「テーマの設定」に関しては,あまり大きいテーマ,またはあいまいなテーマにならないように生徒に助言している。例えば「ケータイ依存症」ならば,ある程度具体的に調べることが可能であるが,「携帯電話」や「依存症」では,何を知りたいのかはっきりしないので調べることができない。ここでキーワードが適切であるかどうかが次の「探す」「読む」の作業に大きく関わってくるので,一人ひとりのテーマをチェックすることが必要になる。資料については,図書館の中でNDC(日本十進分類法)を理解して,書架から自分で探せることが望ましいが,授業時間に制約があるため,あらかじめ利用が想定される本はブックトラックに載せて一箇所に集めておくことで資料の収集の時間の短縮を図った。6.振り返り生徒たちは,図書館で情報を検索する方法に慣れていないので,本から情報を探すのに苦労していた。タイトルにキーワードがないと,自分の探すべき本がないと思い込んでしまうことが多い。ここでキーワードの上位・下位の概念を指導することができれば,もっとスムーズに情報検索ができたと考えられる。授業では,目次・索引・まえがき・あとがきなどに目を通すことを助言したり,資料を探させるにあたって,個々に教員や司書が助言をした。昨年実施した際には,複数の資料で調べる(クロスチェック)ということを負担に感じる生徒が多かった。「一冊の本で答えがわかるのになぜ複数の情報に当たる必要があるのか?」という疑問は,この授業の中で説明してもあまり納得できていなかったようであった。そのため,今年度はこの調べ学習の前に,「新聞の読み比べ」の授業を実施した。「同じ日付の全国紙4紙と地方紙2紙の一面トップ記事と社説を比較する」ことで,一つの資料を読んでわかった気になっては危険であるということに生徒自身が気づいた。また,昨年はワークシートに同じことを何回も書くことになる作業を面倒臭いと感じる生徒が多かったが,今年度は「論文の不正」が世間で話題となったこともあり,調べる過程や思考の過程を記録に残すことの重要性を生徒が理解することができた。調べた過程をレポートにまとめていく中で,自分の理解があいまいな部分があることに気づき,また調べ直す生徒も見られた。本来ならば,もっと時間を取り,新たな疑問文をつくり,それに対して調べを進めていくといったスパイラルな探求学習にしていくべきであると考えるが,時間の制約があり,実現できないのが残念である。テーマ選びに関して,どうしても自分の興味関心が「情報モラル」にはないという生徒も何人かいた。その場合には独自にテーマを設定させた。「高齢化社会と年金問題」や「地震」,「いじめ」「中国と日本の関係改善」,「食品添加物」などがあった。レポートに関しては,内容が薄くなってしまった生徒が多かった。それはワークシートに問題があると考えられる。ワークシートで疑問文の結論を書く欄をとても小さくしてしまった(要約を書かせてしまった)がために,レポートでもワークシートの結論をそのまま書き写す生徒が多かったせいであると思われる。8時間という限られた時間でレポートまでは厳しいが,さらに作業の手立てを工夫していきたい。生徒は振り返りの中でクロスチェックの重要性を改めて認識したようである。書き手による意見の違いに関するコメントが非常に多かった。8