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概要

ICT-Education_No.53

「情報の発信と守るべきルール」に関する実践─Webサイトの作成を通した著作権の学習─神戸大学附属中等教育学校小川敬介keiogawa@people.kobe-u.ac.jp1.はじめに本校は神戸大学附属住吉中学校と同附属明石中学校を前身とする中高6年間一貫教育校である。現在,5年生で「社会と情報」を履修している。本校は前身の附属住吉中学校時代から「小集団学習」を実施し,中等教育学校となった現在も「協同学習」として複数のメンバーが協力して同一の目標を成し遂げる学習方法を進めている。協同学習は1)相互協力関係,2)対面的‐積極的相互作用,3)個人の責任,4)小集団での対人技能,5)グループの改善手続きの五つの基本要素が含まれていなければ成立しないとされている。教科「情報」では,問題解決型の課題を行うことが多く,協同学習を利用することで「グループ内でさまざまなアイディアが出される」,「効率的に作業を行うことができる」などのメリットが期待できる。携帯電話やスマートフォン,タブレット端末,パソコンが身近になり,高校生も情報発信の機会が多くなっている。情報発信の手段もプレゼンテーションだけでなく,ブログ,Twitter,SNSなど,Web上での情報発信の機会が多くなった。このような背景のもと,氾濫する情報の中から信頼性・信憑性の高い情報を選択できる「受け手」としての力だけでなく,責任ある情報の「送り手」としての素養を身につける必要がある。そこで,この単元では協同学習によるWebページ制作の実習を通して,Webを利用した情報発信の手法を身につけるだけでなく,情報発信におけるルールを理解し,個人の責任を自覚させることをねらいとしている。また,協同学習のツールとして,LMS(Learning Management System)であるMoodleの機能を利用する。Moodleは授業中の学習活動(授業資料の提供,理解度テスト,アンケート調査,課題提出,グループ学習,相互評価,成績管理など)を支援・管理する機能を持つLMSである。Moodleはe-Learningの機能だけでなく,対面授業においても,生徒の反応をリアルタイムに確認しながら授業を行うことにも有効であり,今回の実践でも理解度を確認しながら授業を進めた。2.授業の計画(1)作品のテーマ「地域のよいところを発信する」ことをテーマにWebサイトの構築を行った。地域のことを再認識することは,地域を支える人材だけでなく,グローバルキャリア人材の育成においても重要である。このテーマに基づいて,各グループ(1グループ4人)で作成したサイトの例を以下に示す。・帰宅路研究部住吉編・阪急電車と撮る景色・ぶらりコロッケ食べ歩きの旅・宿題済良し!(住吉)・神大附属学校周辺マップ・みかげさんぽ・Sweets of Mikage Rokko(2)授業のねらい本単元のねらいは次の通りである。Ⅰ身近な地域の情報を発信していくことで,Webを利用した情報発信について関心を持って取り組み,自ら積極的にルールを守って情報発信をしていこうとする態度を身につける。Ⅱ情報発信に伴う問題について考え,それを踏まえて情報発信する際に適切な判断ができる。18