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概要

ICT-Education_No.53

させるのかという方向に向かっている。そして,計測・制御のプログラムを試行錯誤しながら作成させることで,創意工夫する力を育むとする授業実践が数多く報告されてきた。しかし,10時間程度の授業では,多くの場合あらかじめ想定されたプログラムにたどり着かせるのがやっとで,生徒自身が試行錯誤をしながら新たなプログラムを開発することは不可能に近い。フローチャートでプログラムを作成できるような簡易言語を用いたところで,短い授業時間の中でプログラム開発に関わる試行錯誤を体験させることは大変難しいと言わざるを得ない。ならば,練習問題としてあらかじめ想定されたプログラムの作成を経験させた上で,身の回りのコンピュータによって計測・制御されているさまざまな機械や装置にどのようなプログラムが組み込まれているのかをフローチャートで考えさせてはどうだろうか。情報処理の手順を考え,簡単なプログラムを作成すること以上に,身近な製品に組み込まれた現実の計測・制御の技術を適切に評価する能力を育てることにこそ,計測・制御の学習の主たる目的があると考えた。4.授業展開の工夫2013年度に本校では,中学校3年生160名を対象に,計測・制御の学習を実践した。授業時間数としては6時間だが,夏休みの宿題で生徒に時間をかけて考えさせるようにした。また,授業展開にあたっては,4人組(男子2人,女子2人の市松模様)でのグループ学習を多用し,互いに意見を出し合いながら学び合うことのできる学習環境づくりを心がけた。(1)指導計画と到達目標指導計画と各時間の到達目標を表1に示す。指導計画目標1時間目・身近な製品や装置に組み込まれたコ【コンピュータっンピュータの働きを考え,グループて何だ】で意見を出し合うことができる。2~4時間目・ロボットへプログラムを転送するこ【プログラムによとができる。る計測・制御】・決められた処理を繰り返すプログラムを作成できる。・赤外線センサーを用いて,路面の黒白を判断して動きを変えるプログラムを作成できる。5時間目・身近な製品や装置に組み込まれたコ【身近な製品のプンピュータのプログラムをフローログラムをフチャートであらわすことができる。ローチャートで・プログラムを分析して気づいたこと,考えよう】わかったことをまとめることができる。夏休み・(5時間目と同じ)【プログラム解析報告書作成】6時間目・互いに分析したプログラムを発表し【プログラム解析合いながら,さまざまな製品や装置報告書交流会】に組み込まれていたコンピュータとそのプログラムが果たす役割を考えることができる。▲表1指導計画(2)特徴的な授業展開1時間目には普通教室で授業を行った(図3)。身の回りの製品にコンピュータが組み込まれていることに気づかせ,これからの計測・制御の学習の目的は,それらの機械や装置にプログラムが組み込まれている事実を,実習を通して実感を持って理解してもらうことにあると伝えて,授業をスタートさせた。▲図31時間目の授業風景23