ブックタイトルICT-Education_No.53
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ICT-Education_No.53
易言語であっても,センサーの値やちょっとした間違いでプログラムは動かないだろう。フローチャートであらわすことで,ある程度あいまいな表現ながらも,機械に組み込まれたプログラムの働きを全体としてとらえさせることが可能だ。6.授業の評価夏休みに生徒に書かせたプログラム解析報告書には,記入して気づいたこと,わかったことを書かせる欄を4行ほど設けた。その中から,三つほど紹介したい(図6)。1「身の回りの電子機器をフローチャートにするのは,すごく時間がかかった。今回調べたUFOキャッチャーよりも,もっと複雑な動きをするようなモノは世の中にたくさんあるのだから,命や意志を持たないものを動かすのは難しいなぁと思った。」2「いま世の中にたくさんのプログラムされたコンピュータがあるけど,一つひとつつくる時間がすごくかかっていて,自動ドアやテレビ,冷蔵庫ができているからすごいと思った。これを考えている人は,安全,快適(便利)などいろいろ考えてプログラミングしている。」3「こうしてフローチャートを記入していて,プログラムは「条件分岐」とその後の動作で成立していることに気づいた。冷静に考えてみると,多分どの機械のプログラムも「これがこうだったらこうする」の塊,ただそれだけなんでしょうね。機械って意外と単純だなぁ…」▲図6生徒の考察このように,多くの生徒が,身の回りの機械がプログラミングされている事実に気づき,そのプログラムでは安全や便利さが追求されていることまで思い描くことができていた。特に3の生徒の「どの機械のプログラムも「これがこうだったらこうする」の塊」という記述は,プログラムの本質を突く鋭い指摘だ。概して,大多数の生徒が,自分たちが計測・制御プログラムを作成した経験をもとに,身の回りで活躍するさまざまな機械に組み込まれたプログラムとその働きを考えることができた。そして,その経験は,生徒たちにとってこれまでになく新鮮なものであったことが読み取れる。単に計測・制御のプログラムをつくらせただけでは,「プログラムができてよかった」「難しかった」といった表面的な感想に終わってしまいがちだ。しかし,実習で身につけたフローチャートを用いて,現実の製品や装置のプログラムを考えさせることで,技術を正しく評価しようとするところまで生徒を高めることができた。7.実践を振り返って本報告は,異動して1年目だった2013年度に行ったものであり,新たな教材開発をまったく行っていない。すでに導入されていた計測・制御の教材を活用して授業を展開せざるを得なかった。プログラミングなどの場合,さまざまな新しい技術が次々に発表され,変化のスピードが激しい。そのため,新しい教材を開発することに力を入れがちだ。しかし,計測・制御の学習が技術科で必修化されたいま,力を入れるべきは,プログラミング言語の違いを超えて,計測・制御の技術の概要を把握し,評価するための基礎的な学力を身につけさせることなのではないだろうか。本報告で取り上げた2013年度の授業で,計測・制御を学んだ生徒たちは,いまそれぞれの進学先で高校1年生として情報科の授業を受けている。2014年度の時点で高校1年生と2年生の生徒は,中学校の技術科の授業ですでに計測・制御を学んでいるはずだ。情報科の授業でも,彼らの知的好奇心を刺激するプログラミングの学習をぜ※注2ひお願いしたい。※注2:本報告は,日本産業技術教育学会ロボコン委員会第2回中学・高校情報教育交流研究会「身近な製品のプログラムをフローチャートで考える」をもとに,報告をまとめ直したものである。当会の活動については,日本産業技術教育学会ロボコン委員会のWebサイト(http://www.mura-lab.info/kaken/)を参照。実践事例などを豊富に紹介している。25