ブックタイトルICT-Education_No.53
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ICT-Education_No.53
偏食はだめよ情報は好き嫌いせず摂れているか?子どもの頃,食事のたびに親からよく「好き嫌いせず何でも食べなさい」「よく噛んで食べなさい」なんて言われた経験を,皆さんもお持ちのことだろう。偏食すれば栄養バランスが偏って,成長の妨げになったりする。早食いで食べ物をよく咀嚼せずに飲み込むと胃腸の調子を崩したり,下手をすれば食べ物をのどに詰まらせて窒息なんてことも考えられるのだから,これは至極もっともな啓示と言える。いままでにないメニューの数々情報機器とネットワークの発達によって,誰でも手軽に情報が入手できるようになった。学校教育においても,例えばインターネットを活用した調べ学習の類は,さまざまな教科の授業で,すっかり定番のコンテンツになっている。もちろん,学校に限らず家でも外でも四六時中,欲しいと思った情報をいとも簡単に検索して入手することが可能になってきた。見方を変えれば,世の中で大変多くの情報が共有されるようになってきて,コンピュータやスマートフォンなどのデバイスさえあれば,そのたくさんの情報の中から欲しいものをチョイスできる環境が整っているのが現代の社会と言える。つまり,以前は日替わり定食と麺類とカレーしかなかった食堂が,何百種類もあるメニューの中から和洋中どれでも好きなものを選んで注文できるようになったようなものだ。しかもお値段は据え置き。これなら好きなものを好きなだけ注文してお腹一杯にできる。欲しい情報しか,摂りたがらないたくさんの情報から欲しい情報が選べるのはよいことではある。ただ,何百種類のメニューが用意されていたところで,毎日食べるということになれば,実際に注文して口にするものはだいたいいくつかのパターンに決まってくるのではないか。好き嫌いなく全部順番に注文していくという人はあまりいない。「欲しい情報=好きなもの」とも言える。つまり,たくさんの情報の中から嫌いなもの,欲しいと思わないものを排除して,自分の欲しい情報だけを入手している傾向があるということである。生徒たちが,勉強に関係のない自分のための情報を得る場面であれば,非常に強くこの傾向は出るだろう。食事であれば,極端な偏食だ。一昔前はいろいろな書物やもの知りな人の話などを見たり聞いたりして,ようやく欲しい情報のヒントが得られたものである。その際,必要のない情報もたくさん見聞きした。これが意外と,後々に役に立つこともあるのだ。必要な情報だけを入手して何が悪いという向きもあるかと思う。それはそれで正論ではある。しかし,たくさんの選択肢の中からしっかり比較検討した上で,絞り込んで必要な情報を得るのと,パッと見ておもしろそうで楽しそうなもの以外に見向きもしないのとではわけが違う。せっかくたくさんの情報にアクセスすることができるのに,頑なに好きな情報しか受け入れようとしないのはもったいない。たとえ,友だちどうしで情報交換して,つねに新しいアプリはチェックしているとしても,それは同じコミュニティーに存在する類が友を呼んでいるに過ぎない。むしろ,同種の情報だけで飽和してしまってよく噛まずに飲み込むような状態になっていたりもする。これでは,せっかく目の前に大きな世界が広がっているのに,何とももったいない話ではないか。32