ブックタイトルICT-Education_No.53
- ページ
- 4/36
このページは ICT-Education_No.53 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ICT-Education_No.53 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ICT-Education_No.53
が低下し,子どもたちが犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが一転して増加傾向になっている。この原因として考えられるのが,高校生へのスマートフォンの普及と,携帯電話以外の端末からのインターネット利用である。内閣府が実施した平成25年度青少年のイン※注4ターネット利用環境実態調査によれば,2010年度の時点で3.9%だった高校生のスマートフォン所有率(携帯電話を所有する高校生のうち,スマートフォンを所有する高校生の割合)は,2012年度の時点で55.9%となり,2013年度には82.8%と急増している。実際,近年は店頭に並ぶ携帯電話の新しい端末のほとんどがスマートフォンとなり,従来型の携帯電話を目にする機会が減っている。小学生や中学生のスマートフォン所有率も増えており,低年齢化の傾向を示している。また,同調査では携帯電話以外の情報端末についても調査されており,ゲーム機,タブレット端末,携帯音楽プレーヤーなどからも,子どもたちが日常的にインターネットにアクセスしている実態が明らかとなった。(3)LINEの普及とフィルタリングの利用率低下スマートフォンの普及とともに,高校生だけでなく広く社会にも浸透しているのが,Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのSNSである。特にLINE(ライン)は,ここ2年ほどで若年層のユーザーを中心に爆発的に普及した無料通信アプリであり,これまで携帯電話で使われていたメールや通話,SNSなどの機能が,LINEに取って代わられるようになった。LINEは電話番号やメールアドレスを交換しなくても,QRコードの交換や「ふるふる」という機能で簡単にIDが交換でき,グループもつくりやすいという手軽さが※注5ある。※注6その一方で,いわゆる「LINE外し」と呼ばれる仲間外れの問題や,相手からのメッセージを読んだら,すぐに返信をしなければ「既読無視」として非難の対象とされる(ように思われている)問題など,ユーザー間の,特に中高生が抱えるさまざまなトラブルが報告されている。また,児童買春等の問題もある。LINEのID交換を目的とした掲示板サイトでは,露骨に「異性との出会い」を打ち出さず,中には「LINE公式」をうたうようなサイトも存在したが,実際には出会い系サイトと変わらない機能を果たしている。この問題にはLINE株式会社も対策を進めており,携帯電話事業者が持っている年齢情報を利用し,18歳未満のユーザーのID交換を制限している。その結果,ID交換掲示板はその数を減らしたが,KakaoTalk(カカオトーク)などの類似のサービスに標的が移っただけという指摘もある。LINEは「友達」どうしでメッセージをやり取りする閉じられたサービスであり,不特定多数が見ることができる掲示板のように,第三者がメッセージの内容を監視することはできない。LINE株式会社も監視を行っていない。これは,LINEのグループ内でいじめや誹謗中傷などが起きていても,従来のネットパトロールでは発見することができず,問題の把握が遅くなることを意味する。LINEは中高生の間での主要なコミュニケーション手段になっているにもかかわらず,EMAの認定を受けたアプリではない。そのため,LINEはフィルタリングの対象となる。LINEを※注4:内閣府「平成25年度青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果(速報)」(http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h25/net-jittai/pdf/kekka.pdf)を参照。※注5:LINEの各機能についての詳細は,LINEの公式Webページ(http://line.me/ja/)を参照。※注6:当初はLINEのグループから,特定のユーザーを強制的に退会させる行為を指していたが,最近は同じメンバーで二つのグループを作成し,そのうちの一つを,仲間外れにしたいユーザーを意図的に含まないグループにして,巧妙にカモフラージュする手口に移行している。2