ブックタイトル情報科プラス No.001
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情報科プラス No.001
ーソンではPOSシステムに加え、カード情報やカスタマーセンターへの意見、SNS上での反応など、さまざまな情報からお客さんの要望を汲く み取り、商品やサービスに活かしています」と同社で情報分析を担当する小林敏郎さん。 コンビニのなかでも、ローソンはTwitterやLINE、FacebookなどのSNS上で情報発信を行い、そこで公式キャラクター「ローソンクルー♪ あきこちゃん」が人気を集めるなど、他社にはない積極的な取り組みを行っています。情報を発信すれば、当然返ってくる情報も多くなります。POSデータとカードで得られた情報に加え、SNSなど多様な情報を分析できるのがローソンの強みになっているのです。「膨大なデータがあると『なんでもわかる』となりがちですが、実際はむしろ逆です。情報の些さ細さいな点に着目する力、そこからいかに精度の高い仮説を立てられるかがデータ分析をするうえで大切です。データ量は仮説の正しさを裏付けるのに必要ですが、量があるからとやみくもに分析してもいい答えは出てきません」(小林さん)。 データ分析を行うためには、小林さんのような分析者のほかに、膨大なデータを処理する機械やソフトウェアの整備・開発、さらにそれを活かそうとする会社の理解が必要不可欠です。それらが一体となってはじめて成果が出るため、その実現にはとても高いハードルが伴います。 それでもなお、ローソンがデータ分析に取り組む理由は「これまでは単に『売れている』ということしかわかりませんでした。でも、いまなら誰にどれくらい売れているのかがわかります。『誰に向けてどのような商品を作ればよいか』を把握できることは、私たちにはとても大きな意味があるのです。これからの小売*にとっては、とても重要なことだと思いますね」。 小林さんたちの取り組みによって、ヒット商品も生まれています。そのひとつ「焼きパスタラザーニャボロネーゼ」は発売から19日で100万食を売り上げる記録的なヒット商品になりました。「発売初日の販売数が多く、人気商品よりもリピート購入者が多いことがわかりました。これらの兆候とヒット商品との相関が強いことは、これまでの分析からわかっていました。急きゅうきょ遽仕入れを増やすなど、対処できたのがヒットの要因です」。 その焼きパスタラザーニャボロネーゼは、情報分析をもとにリニューアルを繰り返し、いまも人気を維持しています。「分析を成功に導く秘ひ訣けつは?」との問いに、小林さんは「特別な資質、能力よりも、『なぜ?』をおもしろがれること。ただの数値の集まりでしかないデータに好奇心をもてることが大切だと思いますね」。【仕事のしくみ・社会のしくみ】連載企画 生産から流通、販売までを効率的に管理するPOSシステムを生み出し、広く普及させてきた歴史を持つコンビニエンスストア(以下、コンビニ)。そのコンビニを代表する「ローソン」では、現在、POSシステムに加え、買い物するとポイントが貯まる「Pontaカード」などのデータを活用し、消費者一人ひとりのニーズをより深く理解しようと努力しています。 たとえば、Pontaカードでは入会時に登録した基本情報(性別や生年月日など)と共に、どのお客さんがどこのお店で何を買ったのかという購入履歴が本部のコンピュータに記録されています。これまでのPOSシステムでは、単に「20代(と思われる)男性がジュースとパンを買った」という漠然とした情報しかわかりませんでした。その一方で、Pontaカードのデータは、どこの誰が何を購入してくれたかがはっきりとわかります。いわば「顔の見える」情報で、これを分析すれば「誰に何を提供すればいいのか」がよくわかるようになるのです。 とはいえ、顔の見える情報があれば、何でもわかるというわけではありません。より良い商品・サービスを提供するためには、膨大な情報に隠れた「事実」を掘り当てる必要もあります。そのため、このようなデータ分析をする仕事・役割が大きな注目を集めてもいるのです。「POSでは店員が20代男性とか30代女性のようにお客さんの年齢を推測し登録しますが、実は多くの場合これが間違っています。また、10歳と19歳ではまったく違うのに同じ「10代」で括くくられます。カード情報なら生年月日がわかるので正確で具体的です。しかも、1回の購買記録も、たまたま買ったのか、気に入って買ったのかで意味も変わります。これも調べれば判明します。ビッグデータを「膨大なカード情報」だとすれば①具体的で②正確、そして③リピート購入を捕ほ捉そくできる点でPOSとの大きな違いがあります」(小林さん)。*3C分析……Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの視点で状況を分析し、戦略に生かすこと。*4P分析……Product(製品)・Place(流通)・Price(価格)・Promotion(広告)の4つの視点で、商品の課題を分析すること。*小売:消費者に直接商品を販売すること。デパートやスーパーマーケットもそのひとつ。POSシステムとビッグデータの違いは?ロPOSシステムとデータ分析今回のテーマ情報社会では、膨ぼう大だいな量の情報を分析し、その結果を行政のサービスや企業活動に活かそうとする機運が高まっています。ここでは、身近なコンビニエンスストアを例に、莫ばく大だいなデータがどのように活かされているのかを紹介します。これらのデータを合わせて分析店頭にてPontaカードPOSデータ&カード利用履歴市場調査の結果カスタマーセンターに寄せられた感想・意見SNS上でのお客さんの反応潜在ニーズを含めると1200万人もいます!繰り返し買ってくれる人も多いんです。3C分析*も4P分析*もやっています。発売しましょう!焼パスタ、すごい勢いで売れてます!情報科がもっと楽しくなる。低糖質パンはもっと売れるはずだけどなぁ…データを見ると、欲しい人が買えていないのかもしれません。商品開発広告宣伝出店計画よし、うまくいったぞ。売り場を拡大しろ!欲しい人が買えるように予約できるシステムを!コンビニエンスストア本社後日結果購入したお客さんの分析結果も、ヒットの可能性を示しています。部長! 焼パスタの実験販売の結果が出ました!▲日本文教出版のWebサイトで授業用イラストをダウンロードできます。5 ICT-EDUCATION WITH TEACHER 情報科+ 4