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概要

情報科プラス No.001

紙幅の都合で紹介しきれなかったことは、日本文教出版のWebサイトで公開します。ぜひお越しください。CD33209日文教育資料[情報]平成25年(2013年)11月20日発行情報科+ No.001(創刊号)発行所 日本文教出版株式会社    大阪本社 大阪市住吉区南住吉4-7-5         TEL:06-6692-1261 世紀に入って10年も経つのに、『21世紀型学力』では違和感があります。少し先の教育を目指すという意味で21・5世紀くらいが丁度いいかなと思って……」。「21・5世紀探究型学習」。玉川学園高等部で展開されているのは、一歩先を見つめた授業である。中でも、登本洋子先生らを中心とした「学びの技」はひときわ目を引く実践だ。「学びの技」では玉川学園の9年生(中学3年生に相当)が、1年をかけ3000字以上の論文をまとめる。生徒自身がテーマを決め、テーマに沿った情報収集を行いながら「研究」に必要な基本的な「技」を身につけていく。その活動を充実した図書館施設(MMRC)と司書教諭や他教科の教員との連携で支える。 テーマを決めるとき、あえて子どもたちには「Yes」か「No」で答えられる問いを設定させる。すると、混沌とした状態が整理され、結論を導くための根拠を探し出しやすくなる。出典の示し方の基本、プレゼンテーションの基本も徹底し、論理的な思考の枠組みはシンキングツールを用いて獲得させる。よく練られたこうした手だてが、「学びの技」の習得に結びつく。「手とり足とりで教えるのではなく、子どもたちと対話しながら、この子が何を考えようとしているのかを引き出していくんです。すごく時間がかかるのですが……」。 常に子ども一人ひとりの学びに寄り添う先生は「技術習得」と「探究学習」にこだわる。文書作成や表計算ソフトをきちんと使いこなせるよう指導するのと同時に、個人の興味を課題に昇華させ、情報の分析手法も学ばせる。 今年の情報の授業では、映像制作の実習を行っている。生徒はグループで協力しながら企画を練り、コンセプトに合った曲を選び、動画編集ソフトを駆使して本格的な作品に仕上げていく。その経験を通して、普段何気なく見ている映像の裏に多くの人がいて、高度な技術が使われていることを実感する。単に「面白そう」と実習をはじめた生徒は、すぐに必死になって技術を身につけようとする姿に変わる。どの生徒も表現にこだわりたいからだ。「設備も人も揃っているので、これがないからできない、という言い訳ができなくて」という登本先生。生徒の学びを深める授業をひたむきに考え続けている先生だからこそ、このハイスペックな学習環境を活かすことができる。子どもたちが大人になり、社会に出る21・5世紀。先生の授業で培った力を武器に、きっと彼らは自らの可能性を広げていくに違いない。21 連載企画熊本県生まれ。玉川学園高等部の情報科主任として、必修の「社会と情報」をはじめ、情報系の選択科目のほか、「学びの技」の指導を行う。料理が趣味で、人と語らいながら食事をするのが楽しみ。玉川学園高等部授業の流儀、先生としての流儀、教科「情報」に対する流儀を、登本洋子先生に伺いました。Yo k o N o b o r imot o登本洋子教諭お話を伺ったのはNo.001わたしの準備室生徒から贈られた色紙・メッセージDVD、先生のキャラクターが描かれた体育祭のクラスポロシャツ。生徒からは親しみを込めて「ヨーコ先生」と呼ばれている。教え子からの贈り物「学びの技」のエッセンスが詰まったテキスト(写真手前)。生徒の論文集は、テーマ設定然り、その出来には大人も思わず唸ってしまう。「学びの技」テキスト・論文集情報は文字文化と密接な関係にあるという先生。ときどき硯に向かい「情報発信」する。ちなみに、練習中なので、成果は残念ながらまだ見せていただけないとのこと。硯すずりArt Dicrection / Eishi Takeda (hooop) Illustration / Hankiti Maeda Photo / Makoto Shima