ブックタイトル情報科プラス No.002
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情報科プラス No.002
TS(高度道路交通システム)は、情報通信技術で、人と道路と自動車を結び、交通事故や渋滞、環境問題など、さまざまな課題を解決することを目的としています。その一方で、情報通信技術が関わる領域はとても広く、ひと言で『ITS』と言っても、渋滞情報の提供から、物流をコントロールするシステムまで、本当に幅広い領域を含みます」とITS・Japanの林さん。 林さんの言うように、ITS の取り組みとして有料道路の料金支払いを無線で行うETC や、GPS衛星で車の位置を割り出すカーナビゲーションシステム(以下、カーナビ) はよく知られていますが、DSSSやASV、テレマティクスやプローブデータなど、わたしたちには、なじみのないキーワードもたくさんあります。しかもそれぞれの分野が日進月歩で進化しているため、専門家でもITS の状況を把握するのは簡単ではありません。「いま日本のITS の取り組みで一番期待されているのが、国家戦略にも挙げられている『自動運転』と『ビ* ッグデータ』です。この2つの視点で見ると、ITS の未来も見えやすくなるかもしれません」(同・林さん)。 自動運転とビッグデータ――。それは、グーグルが無人自動車の走行実験を行ったり、アップルが、ビッグデータを象徴するテレマティクス分野に「C* ar Play」を投入したりするなど、世界的なIT 企業の動きとも重なります。これらの事実は、ときに日本の自動車メーカーを脅かす存在として、大きなニュースにもなりました。「自動運転もカーナビも、車に搭載された技術のみで完結するものではありません。道路に設けられた設備も組み合わせて実現できるシステムです。そう考えると、自動車技術が高く、イ* ンフラも整う日本のITS には、アドバンテージがあり、なおかつ、とても大きな可能性が秘められているんですよ」と林さん。 IT 企業が次々と参入し、日本も国家戦略の要かなめと位置付ける「ITS」。通信技術の向上、センサー・画像解析技術や音声認識技術など、ITS に関わる最先端技術には今後さらなる発展が期待されています。「みなさんが情報科で学んだことのその先にITS があります。これを機に、現在のITS がどんな技術で成り立っているのかを知ってもらい、今後どんな道路交通社会が実現したらいいか、ぜひ想像してみてください」(林さん)。【仕事のしくみ・社会のしくみ】連載企画* アップルは、iPhoneとカーナビ(車内ディスプレイ)とを連携させる「Car Play」を発表。* ビッグデータ:膨大な量のデータを分析し、公共サービスやビジネスなどに利用すること。自動車では一台一台の走行情報を活用し、渋滞情報を提供するなどの取り組みが行われています。* インフラ:インフラストラクチャーの略。社会の発展に必要な公共施設。河川、下水、道路、鉄道、通信情報施設などが含まれる。Intelligent Transport Systemsの略で、高度道路交通システムのこと。最先端の情報通信技術を活用することで、交通事故や渋滞の解消、排気ガスやCO2排出などの環境問題の解決を目指しています。ETC、カーナビのほかにも、バスの現在地やバス停での待ち時間がわかる「バスロケーションシステム」や道路交通情報提供サービス(VICS)なども知られています。ITSってなに? I今回のテーマ 自動車×情報通信技術が実現する社会日本の道路には最先端の情報通信技術(ICT)が活用され、世界に誇る高度な道路交通システムが実現しています。ここでは教科書にも記述のあるITS(高度道路交通システム)を取り上げ、その具体的な中身と、情報通信技術によって近い将来、どんな交通システムが実現するのかをITS・Japanの林昌仙さんに伺いました。情報科がもっと楽しくなる。[掲示用資料]ITS・Japan はITS の理解・普及を推進するために、自動車メーカーや電機メーカーなどが中心となってつくられた、民間を代表する機関。毎年、世界会議を主催し、世界中のITS 機関と連携しながら、ITS の発展を引っ張っています。ITS・Japan常務理事林 昌仙さんお話を伺ったのはITSを知るための重要キーワード交通システムの未来イメージGPS衛星ETC自動運転ITSスポットサービス交通管制センターDSSSVICSテレマティクス通信基地局ASV光ビーコンITSスポット光ビーコン歩行者感知器FM電波塔テレマティクス車に双方向の通信機能を持たせ、交通情報の提供など、さまざまなサービスをリアルタイムに提供すること。カーナビと連動して実現するサービスが多く、自動車のICT化を象徴するシステム・技術として注目を集めています。有料道路の料金所で、車に搭載したETC機器とETCレーンに設置されたアンテナとの間で無線通信を行い、車を停止させずに料金を支払えるシステム。これにより料金所での渋滞が緩和されます。道路脇にある、車両を感知する機器から集められた情報をとりまとめ、FM 放送や光ビーコンなどを通して、車に交通情報を提供するシステム。これにより全国の主要道路の交通情報がわかります。自動運転・運転支援機械が状況を判断して車の運転を支援すること。人の運転を機械が支援するレベルから、目的地まで人の手を借りずに機械がすべてを操縦するレベルまでさまざま。次世代自動車環境への負荷が少ないクルマが次世代自動車として注目を集めています。具体的には, EV( 電気自動車:Electric Vehicle),PHV ( プラグインハイブリッドカー:PluginHybrid Vehicle), FCV (燃料電池自動車:Fuel Cell Vehicle) などがあります。ITSスポットサービス高速道路に設置されたITS スポットと、自動車に搭載された「対応カーナビ」とが通信を行い、ルート案内や、危険を事前に知らせるなどの安全運転支援などを行います。Vehicle Information and Communication System DSSSElectronic Toll Collection SystemDriving Safety Support SystemsAdvanced Safety Vehicle運転手の判断ミスや、判断の遅れによる交通事故を防止するシステム。光ビーコンで車の近くにある危険を運転手に知らせ、信号の見落としや、出会い頭の衝突などを防止します。ASV先進技術を利用して運転手の安全運転を支援するシステム。「先進安全自動車」の略。衝突被害を防止・軽減するブレーキ機能や、車線からはみ出したときに注意を促すシステムなどがあります。VICSETC5 ICT-EDUCATION WITH TEACHER 情報科+ 4