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概要

情報科プラス No.004

内閣官房発表資料「日本再興戦略」改訂2015などをもとに作成。空港生産工場家庭福祉施設ショップ通販会社災害現場など危険エリアロボットが活躍する未来社会銀行掃除ロボット警備ロボット警備ロボット銀行窓口ロボット秘書ロボットパーソナルモビリティパーソナルモビリティ接客ロボット災害対応ロボット道案内ロボット仕分けロボット配達ロボット子ども見守りロボット高齢者見守りロボット産業用ロボット(作業支援ロボット)留守番(防犯)ロボットリハビリ支援ロボット介助支援ロボット荷物運搬ロボット手術支援ロボット自動運転車コールセンター対応ロボット翻訳ロボット案内ロボット病院内搬送ロボット ボットとひと言でいっても、工場で稼働する産業用ロボットから玩具に近いコミュニケーションロボットまで、その種類はさまざまです。日本は産業用ロボットのシェアで世界一を誇り、これまで世界をリードしてきました。けれど、他国の追い上げは厳しく、いつまでも安泰ではありません。さらに、世界は大量のデータを駆使し、人間のような知能を持ったロボットの開発を加速させています。産業用ロボットではない、いわゆる『サービスロボット』の開発です」。 千葉工業大学・未来ロボット技術研究センターの所長として、最先端のロボット技術を研究するかたわら、日本政府が推進するプロジェクト「*改革2020」のユニバーサル未来社会推進協議会副会長として、日本のロボット社会を牽引する古田貴之さん。「ロボット開発分野は、IoTや** ビッグデータ、それに人工知能やクラウドといった情報処理技術を使った展開が求められています。日本は機械、電気電子、情報工学というメカトロニクスを活かした技術力で産業用ロボットのナンバーワンになりました。けれど、サービスロボットで勝つためには、ソフトウェアやデータ分析、人工知能などの情報処理技術での取り組みが重要になってきます」。 日本の経済が凋落したのは、これまでの「モノづくり」が通用しなくなったからだという古田さん。「重要なのは『モノづくり』ではなく『モノゴトづくり』。モノづくりのための技術はあくまでも道具のひとつ。大事なのは技術を使ってどんなサービスや社会を実現したいか、言ってみれば『モノゴト』をつくること=ビジョンを抱くことです」。 日本は世界に先駆けて少子・超高齢社会を迎えました。このままでは労働者が不足するうえ、高齢者の医療費は増え、社会負担が大きくなります。「日本の経済を立て直し、少子・超高齢社会という大きな課題を克服できるのがロボットです」。 古田さんは、ロボットの力があれば高齢者が元気になる社会、人々の不幸が幸せになる社会を実現できると信じている。「あらゆる学問・技術を結集する『ロボット技術』があれば、どんなことだってできます。そんなロボットに一番大事なのが『情報処理技術』。情報処理技術がなければ、ロボットもただのガラクタです。情報を学ぶみなさんには、そんな大きな未来があることを知っておいてほしいと思います」。わかりやすく言えば「感じて」「考えて」「動く」賢い機械のこと。ロボットといえば、まず人型をイメージしますが、顔や手足がなくてもロボットです。顔を認識して自動的にシャッターを切るカメラの機能も、もともとはロボットの「目」として開発された技術なんですよ。そして、カメラだけでなく、クルマや家など、みなさんの身近な製品の裏では、すでにロボット技術がたくさん活用されています(古田さん)。ロボットってなに?[掲示用資料]3歳の頃、鉄腕アトムの天馬博士に憧れ、ロボット博士を志す。これまで人工知能を搭載したサッカーロボットやバック転もする運動神経抜群のロボットなど、画期的なロボットを多数開発。福島第一原発原子炉の冷温停止の一助となったレスキューロボットの開発者でもある。千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長古田貴之さんお話を伺ったのはロ【仕事のしくみ・社会のしくみ】連載企画今回のテーマ ロボットが実現する社会画像認識、音声認識、情報処理をはじめ、電気電子工学や機械工学など、あらゆる知識・技術を駆使して開発されるロボット。現代の技術と学問が結集した最先端技術・ロボットの「いま」と「これから」について世界的なロボット工学者・古田貴之さんにお話を聞きました。情報科がもっと楽しくなる。ロボットを理解するための重要キーワード家庭や病院・介護、警備や災害対応など、サービスのために使われるロボットのこと。家庭用掃除ロボットをはじめ、家自体に人工知能を持たせ、生活を支援する「ロボティクスハウス」や、レスキューロボット、人とコミュニケーションするエンターテインメントロボットなどがあります。サービスロボット人間の学習能力をコンピュータで実現しようとする技術・方法のこと。センサやデータベースから得られる情報を解析し、推測・判断するアルゴリズムによって可能になります。人工知能の研究分野のひとつとしてロボットに応用されたり、検索エンジンや音声・画像認識などに使われています。機械学習ドイツが国を挙げて取り組む国家プロジェクト。工場をスマート化し(ICT 技術により自ら考える工場にし)、製造業の生産力と生産性を飛躍的に高めようとする試みです。「第4 次産業革命」ともいわれます。これにより産業用ロボットがより進化すると考えられています。インダストリー4.0Internet of Thingsコンピュータやタブレットなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在するありとあらゆる「モノ」をインターネットにつなぎ、モノから得られるデータを活用しようとするしくみや取り組みのこと。「モノのインターネット」とも言われます。IoT2020 年の東京オリンピック開催に合わせて、ロボットを対象とした競技会を開催することなどが計画されています。まだ、計画段階ですが、実現すれば世界中からロボット技術者が集い、ロボットの技術開発と普及が進むと期待されています。人工知能(AI) Artificial Intelligence ロボットオリンピック人間の知能に似た機能を備えるコンピュータシステムのこと。それを実現するための代表的な手法に「機械学習」や「ニューラルネットワーク」があります。人工知能は、ロボットに欠かせない重要技術として大きな期待を集めています。*改革2020プロジェクト: 成長戦略「日本再興戦略2015」で定められたプロジェクト。東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020 年を目標に実現すべき6 つの改革が示されています。** ビッグデータ:膨大なデータを解析し、サービスやビジネスに生かす取り組みのこと。