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概要

情報科プラス No.004

レゴ エデュケーション社教育版レゴマインドストームEV3実践内容ロボット・プログラミング教育に力を注ぐ情報科の先生に、おすすめの教材とその活用法、そして、導入のためのヒントを紹介してもらいました。情報科教諭が選ぶ授業に導入したい“ロボット・プログラミング”教材連載企画 [授業のネタ帖]厳選レゴマインドストームEV3と「EV3アプリ」。2015年夏にEV3アプリが発表され、タブレットでのプログラミングが可能に。「プログラム作成→実行」がよりスムースになり、共有しやすいことから協同学習でも効果を発揮する。LEGO and MINDSTORMS are trademarks of the LEGO Group. c2015 The LEGO Group.アーテック社「Robotist」。光センサやタッチセンサを組み合わせることでさまざまな実践が可能に。「宇宙エレベーター」には競技大会も。同大会への参加校は年々増加している。助教‘81年北海道生まれ。大学での指導とともに女生徒向けのプログラミング教室(ワークショップ)を開く。女生徒が興味を持つ独自のテーマでプログラミングの魅力を広く伝える。青山学院大学吉田 葵Aoi Yoshida教諭‘63年富山県生まれ。「情報の科学」を指導。「情報社会を創造する力」を養うべく、Web制作やプログラミング教育に注力する。いま最も関心を寄せているのは「新学習指導要領」がどうなるかということ。神奈川大学附属中・高等学校小林道夫Michio Kobayashi教諭‘68年大阪府生まれ。英語と情報(「社会と情報」「情報の科学」)を指導。「論理的思考力」と「創造的問題解決能力」を重視し、国内外での交流学習や協同学習、産学連携授業など、多彩な実践を行う。羽衣学園中学校・高等学校米田謙三Kenzo Yonedaナビゲーター‘74年北海道生まれ。「社会と情報」「情報の科学」を指導。「身のまわりにあるモノがプログラムで動いていることを、早くから理解する必要がある」と、プログラムには多くの時間をかけて指導する。北海道小樽潮陵高等学校佐々木 寛Hiroshi Sasaki教諭指導上のコツロボットが動き回る様子を見れば、誰もが目を奪われます。その関心をいかに「学び」に結び付けていくかです。理論ではなく、まずは体験を与え、「自分もコントロール(プログラム)してみたい」と思わせることが大切です。駅の自動改札機や自動ドア、自動運転車など、自動化されたものが何のセンサを使い、どのようなアルゴリズムになっているか考えさせた後、レゴマインドストームに取り組ませるとよりよい取り組みになります。導入のヒント科研費や財団の教育研究助成などに申請し、予算を確保することが重要です。また、管理職や学校側の理解も大切です。導入計画を立て、管理職に理解を求める。このとき、仲間の教員(理解者)を増やしチームとして当たります。最後は「この教育が必要なんだ!」という情熱が決め手です。指導上のコツ「生徒がどこでつまずくか」を事前に押さえておけば、プログラムの指導もラクになります。わたしはドリトルを導入しているため、開発者の大阪電気通信大学・兼宗進先生によく相談しています。とても親身になって対応してくれるので、授業を計画するうえで大きな助け・励みになっています。導入のヒントテキスト教材(1,000円程度)を導入すると、4人につき1台Robotistを無料でレンタルできます。仮に1学年160名の生徒がいれば40台になり、1人1台の実践環境も可能です。ロボット専用基板「Studuino」を搭載し、対応するプログラミングソフト(言語)が充実しているため、学校環境に合わせた導入が可能です。問題を発見し、解決する力を養うために、どんなテーマが最適かと考え、行きついたのが宇宙エレベーターです。授業では、その形や機能を検討することからはじめ、それをレゴマインドストームで具体化し、宇宙ステーションに物資を運ぶというタスクをプログラムで制御します。具体的には、「宇宙開発とロケットの限界」をテーマに①問題解決の方法を学び、「宇宙エレベーターの構想」を②調査・分析し、実機の設計と制作で③アルゴリズム・プログラムを作成します。そして最後に「宇宙ステーションに物資を運ぶ課題」を通して④処理の自動化に取り組みます。宇宙エレベーターは、開発段階にある「夢の乗り物」です。未だ見たことのないものを、子どもたち自身が創造し、実験のなかで問題発見と問題解決を繰り返しながら、答えを見つけていく実践です(小林)。ドリトル×アーテック社Robotist(ロボティスト)実践内容プログラミング言語「ドリトル」から命令を送り、ロボット「Robotist」を動かす実習を全8コマ用いて行います。ドリトル・Robotistの基本にはじまり、①LEDの点灯・点滅の制御、②ライントレースカー、③サーボモータと光センサによる「ブロック飛ばしロボット」を経て、最後に④課題解決型学習を行います。自分でつくったプログラムでLEDが光ったり、モータが動いたりする体験は、先生が想像する以上の感動を生徒にもたらします。 “プログラム”が果たす社会的な重要性が増すなかで、それを知って大人になる生徒と、そうでない生徒ではどれだけの差が生じるか──を考えれば、プログラム教育には自然と力が入ります。まずは、授業を通じて、多くのモノがプログラムで動いていることを身近に感じ、見える景色が変わってくれればと思っています(佐々木)。「ただ言われたままプログラムを打つのではなく、トライ&エラーをしながら、自力で作成することが大事です」(佐々木)。2人1組に1台で、協同学習として課題に当たる。生徒がドリトルで作成した作品。Scratch×Microsoft社 Xbox One Kinectセンサー実践内容指導上のアイデア「オリジナル絵本」プログラムは、有名な童話の結末をプログラムを使った結末に書き換えることをテーマにしていますが、それとは別に「カラダの動きで楽器を演奏する」というテーマの実践もいつか実現したいと考えています。導入のヒント動きを確認しながらプログラミングする必要があるため、グループでの実践が前提になります。カラダの動きを取り入れるのはWebカメラでもできますが、カラダの各部位を細かくキャプチャーできる点でKinectのほうが優れています。また、KinectをScratchで使うために、Stephen Howell氏によって開発されたブリッジプログラム「Kinect2Scratch」をインストールする必要があります。「女子中高生のための情報・メディア工房」というワークショップで、Scratchとモーションセンサ「Kinect」を用いた実践を行っています。プログラミング経験がない参加者を前提に、 ScratchとKinectの使い方から、最終的にはKinectでカラダの動きを取り入れたプログラム「オリジナル絵本」をつくるまで、約3時間かけて行います。授業と違い1回で完結するため、まずはプログラミングや情報科学に興味を持ってもらうことが狙いになりますが、「プログラムで新しいものを創造できること」を伝えるのが重要だと考えています。Kinectを使った実践は、PCの中だけで完結することなく、生徒のカラダがプログラムに入り込むため、その感覚は女子中高生にも新鮮なようで、とても楽しそうに取り組んでいます(吉田)。津田塾大学女性研究者支援センター主催「女子中高生のための情報・メディア工房」でのひとコマ。カラダの各部位をキャプチャーし、プログラムを作成する。「Xbox One Kinect センサー」。初代「Xbox 360 Kinect」と比べ、音声認識、画像認識、モーション検知がより高感度になり、繊細な動きに対応する。ロモティブ社 Romo(ロモ)実践内容エデュケーショナルロボット「Romo」は、キャタピラのような本体にiPhone(またはiPod touch)を載せ、アプリで制御します。その制御(プログラム)は、アイコンを組み合わせるだけなので、だれでも簡単に作成できます。「プログラム言語の習得」というテクニカルな要素は排除しつつ、物事を論理的に捉えるアルゴリズムを理解させる環境が整っています。授業では「Romoを使って実際に社会に役立つサービスを考える」ことを目的に、協同学習、国際交流教育、企業への企画提案プレゼンなどを織り交ぜて展開します。生徒は、相手の顔(表情)やモノを認識するRomoの基本機能を使って新しいサービス・商品を企画しますが、Romoの愛くるしさも手伝って、期待以上に主体的に学んでくれます(米田)。指導上のコツ機器の操作やプログラミング言語の習得はテクニカルな部分で個人差が出やすくなりがちです。Romoではそのリスクを軽減できますが、それでもグループで話し合う活動を取り入れ、スキルの差を解消するように努めています。導入のヒント5?6名に1台となる台数を導入しています。1台ずつ導入するよりも廉価になる教育従事者向けセットもあります。また、教育関係者向けのセミナーも開かれているので、まずはそちらに参加し、授業実践のイメージを膨らませるとよいかもしれません。親子、教育関係者、開発者向けセミナーも多数開催される。アイコンを組み合わせるだけでプログラミングできる。Romoはディスプレイに映る顔(表情)やiPhoneの傾きなどで「感情」を表現。iPhoneのカメラ機能が目となり相手の顔(表情)やモノを認識する。実践実践実践実践