ブックタイトル教育情報 No.11
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教育情報 No.11
我が町宮城県川崎町は県の南、蔵王連峰のふもと、仙台市と山形市の間に位置しています。四方は山々に囲まれ自然が豊かであることは勿論ですが、東北初の国営公園「みちのく杜の湖畔公園」があり、町のセントメリースキー場があり、釜房ダムがあり、江戸時代より伊達家の湯殿で、その後芥川龍之介等多くの文人が逗留した青根温泉があり、2つのインターチェンジを伴う山形自動車道があり、手つかずの城跡がある、水と森と歴史の町です。 当地も少子高齢化は避けがたい課題ですが、小学校が4校、中学校が2校あり、高校と支援高等学校があります。 私の町での教育の重点施策は、地域の施設・素材、人材を生かした郷土愛の教育です。 多くの大人はふるさとをもち、特にふるさとを離れた大人は、時折ふるさとに想いをはせながら、哀愁や懐かしさなどを感じて暮らしていると思います。ふるさとは幼少時代に自分をつくりだした場所であり、人生の礎を育んだ時間空間そのものです。それ故、アイデンティティーの形成はふるさとでの原体験が関係あるのです。 幼少時代、子どもたちは、ふるさとでの人や自然との関係による「原体験」を自分の中に取り組んで、その「体験」(主観)を「経験」(客観)に変換するのです。変換の手段となるのは、「振り返り」「指摘」「失敗や成功」「悔しさや嬉しさ」「感激」等さまざまです。そして、さらに多様な「経験」を積み重ねて記憶され、感性や思考力等の基礎が芽生え、次第に人としての幅が広がり、アイデンティティーの礎をつくり出すと考えます。 そのふるさとでの「原体験」を生み出す一つとして地域素材を利用した学習にあると思います。 前述したように町には、釜房ダムやスキー場、国営公園などがあり、それらに関連した学習を進めています。釜房ダムでは、小学生はダム見学と学習があり、地元ならではの勉強をします。日頃見ているダムの働きを知り、水の大切さを思い、自然の豊かさに感謝することを学びます。また、スキー場では、小学一年生からそり滑りやスキーを6年間学習します。スキーヤーを目指す子も出ています。国営みちのく杜の湖畔公園は広い敷地できれいな花々が四季を彩っていますが、遠足や学習に利用されています。年間80万人ほどの利用者がいて、充実した施設です。 町の一番の特色は、「支倉郷土文化伝承館」があり、全小中学生が年一度、支倉常長祭りに参加していることです。支倉常長は幼少時代を川崎町支倉地区で過ごし、伊達政宗公の命を受け、メキシコ・スペイン・ローマに航海して帰国しました。慶長遣欧使節の目的は歴史的に壮大なものだったと思いますが、帰国後、常長は謹慎を申し渡され悲運の晩年を過ごして亡くなったようです。 子どもたちには支倉常長についての学習や彼の夢などを想起させています。時代の歯車が違っていたならば、日本史に残る英雄だったと思いますが、彼の偉業は川崎町では伝わっています。彼の志を通して、「世界へ」「未来へ」に羽ばたく子どもたちを育てたく、郷土愛とともに世界・未来に立ち向かう教育も目指しています。 郷土愛を育むものは、静的な環境だけでなく動的な環境、つまり人が重要であることは言うまでもありません。人との出会いや交流が大切で、子どもにとって、親、教師、友だち、すべての人が郷土愛には重要なファクターです。 昨年、川崎町小山修作町長と尚絅学院大学合田隆史学長が「包括的連携に関する協定」を結び、町と大学がまちづくりをはじめ様々な分野で協力し合うことになふるさととは地域素材を利用した学校教育尚絅学院大学との連携小中学生も参加する支倉常長祭り特集地域全体で子どもを育てるまちへ学校と地域連携宮城県川崎町教育委員会教育長大沼 吉朗04 No.11