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概要

教育情報 No.11

大学生と一緒に勉強し、遊んでいる姿だ」という。 学生はよく「児童と同じ目線で」と話す。具体的にはとの質問に回答はどうも難しいようだが、学習支援の難しさはどうもその辺にありそうだ。質問への答えを言うのは比較的安易であるが、どういう表現で、どういうプロセスで説明すると理解してもらえるのかが課題らしい。彼らは大学で「教えること」について講義で、あるいは先輩教師の実践等から学んでいる。しかし、理論と実際とは乖離していて、先ずは直接子どもたちに接することが「教えること」の早道で、実践的である。この「教えること」は同時に「教えられること」でもある。子どもたちから学ぶことは多く、合宿のミーティングでその話は出る。そして、情報交換することで個人が抱いた「教えること」と「教えられること」が実は表裏関係にあり、これが合宿参加者に敷衍される。 学生は子どもたちと、現場教職員と、そして地域住民とどうコミュニケーションをとるか。学校現場で校長が頭を抱える一つに、若手教員がクラスの子どもだけでなく職場で、また地域で会話ができないというが、もしかすると、学生は早い時期にこの困難に接し、善処する方策を思案することになる。これも泊を伴った合宿の成果となろうか。 この度の「教員養成に関する具体的な方向性」の中に(学校インターンシップの導入)が明記されていて、そのために教育委員会、学校、そして大学の円滑な連携を検討する必要があるという。大学が教育委員会に依頼し、学校を紹介してもらう。もちろん学校には学校を支援する地域があって、その地域との関わりを併せて学ぶことになる。 今、そして、これから大学生が学校現場で「学習支援ボランティア」を経験するには、彼ら自身が経験する必要性を先ずは理解することが必要で、次に経験するためには学校はもとより、教育委員会、学校、学校を取り巻く地域が大きく関与している現実を知る必要がある。教員を希望する学生が、在学中に学校現場をあらゆる角度から眺め、学校現場入り込み、子どもたちと教職員と関わることによって自身が教員に向いているか否かの判断することが必然である。 Plumの活動は、年2回の泊を伴う合宿がすべてではない。毎週一回、発表者を決めて国語の教科書掲載の教材研究を試み、発表している。質疑応答があり、その教材研究を基に、教育実習を終えた上級生が学習指導案を作成し、模擬授業を実施し下級生は参観する。その活動には先輩も後輩もない。 今後の活動は、明確な目的を持ってさらに学校現場に出掛ける必要がある。たくさんの学校現場に赴き、子どもたちと学び、遊び、歌い、笑い、そして涙する、そのような現実に接し、結果、教師の道を選択すればいい。学校現場の教職員から、地域の住民から、時には教育委員会の先生からの叱咤激励もあろう。これらも貴重な選択肢になる。 Plumで多くを体験した学生が、合宿でお世話になった学校に赴き、「4月から私も教壇に立ちます。先生方の仲間になります」と報告ができたら、至上の恩返しとなる。つい先ごろ、Plum合宿で活動した2名の学生が学校に赴き、全教職員の前で挨拶をし、拍手喝采をあびた。校長は、本校で活動を行うと教員になれるんだねとほほえましく話された。そして、校長室に戻った二人に、関わったクラス担任が来て、握手を求められた。 学習ボランティアは確かに教師になるための一手段・方策かもしれない。しかし私は、合宿最終日、全教職員に向かって挨拶をした。「来年も、先生方の前で4月から教員になりますと言える学生を、一人でも多く育てたい。合宿後は大学の責務です。」と。今後のゆくえ ― Plumはどう進むか ―尚絅学院大学総合人間科学部子ども学科教授神奈川県内の公立小・中・高等学校教諭として勤務。その後、奥羽大学文学部日本語日本文学科教授、非常勤で福島大学人間発達文化学類、二松学舎大学大学院文学研究科等を経て、本学子ども学科開設時より教授として着任。専門は、日本近現代文学と国語科教育学。?主な著書(単著)『井上靖 人と文学』(勉誠出版)(共著)『現代日本文学鑑賞講座⑮川端康成』(角川書店)『展望現代の詩歌 詩Ⅲ』(明治書院)『〈新しい作品論〉へ、〈新しい教材論〉へ 1』〈右文書院〉『文学の力×教材の力 小学校編4年』(教育出版)他著者プロフィール● 田村 嘉勝 (たむら よしかつ)07