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概要

教育情報 No.12

横浜市立六浦小学校 校長昭和55年4月横浜市の教員に採用後、平成22年4月に横浜市立上郷小学校長となり、平成26年4月より六浦小学校長となる。平成25年4月から神奈川県特別支援学級設置学校長協会会長となり、現在に至る。平成30年4月からは横浜市立小学校長会長となる。著者プロフィール● 大谷 珠美 (おおたに たまみ) 現在、特別支援学級に在籍する児童・生徒の数も毎年増加し、重度重複障害の児童・生徒も一般学校で学ぶことが多くなりました。今や、学校における特別支援教育の推進は、学校経営において重要な課題の一つになっています。 本校では誰もが安心して学ぶことができるように、環境をどのように整えて支援、指導に当たるかを全職員で考え実践しています。 一般学級の中にも、発達障害の診断を受けている児童がいます。また、診断はないけれど、学習に困難さを抱えている児童、こだわりや情緒面で不安のある児童もいます。不登校気味の児童もいます。学校は、その児童にどう向き合い、安心して学校生活を送ることができるようにしたらよいか考え、本校では特別支援教育を学校経営の柱にしました。 横浜市は、全小学校に特別支援コーディネーターを兼ねた児童支援専任教諭がいます。本校はその専任教諭が主体となって、支援の方法や場等、職員研修を行ったり保護者対応を行ったりすることにしています。 まずは、4月に全家庭に特別支援教育についてのお便りを出します。そこで、支援サポートを受ける場合は申し込みをするようになっていて、集約された児童の学年、人数を把握し、サポート体制について特別支援委員会で話し合いをもっています。 そこでは、保護者の願いや児童の願いも聞き、どの授業に誰がサポートに入るか、個別、少人数など、どの体制が児童にとって安心して学べるか、サポートを受ける時間数をどうするかなどを決め支援を進めています。 指導は、専科、国際教室担当、専任、非常勤職員があたり、毎週金曜日に、各担任から配られる次週の予定をもとに支援の時間割を組んでいます。支援の場も学級、特別支援教室、国際教室、相談室など、その時の状況に応じて使い分けています。 児童からは、「勉強が好きになってきた」「わかるようになって楽しい」という声が聞かれるようになりました。 また、友達とのトラブルから教室を飛び出してしまった時の居場所として、相談室に小さなテントを置き、気持ちが落ち着くまでそこで過ごし、専任に話を聞いてもらい、話しをする中でコミュニケーションの取り方を学ぶことができるようにしたところ、安心して次の授業を受けることができるようになりました。 今までの画一的な考えを捨て、校内のどの場で学ぶことが児童にとって安心して学ぶことができる場なのかを考え、受け入れ、支援にあたってきたところ、児童の心の安定にもつながるようになりました。右の写真は不登校気味の児童の居場所で、個別のブースになっています。 担任は、学級の中では、情報機器を使いながら、学習を進めることが多くなりました。特別支援学級の児童が交流で学ぶときにはより効果的です。グループ学習のときにも、iPadを活用し、作業をしながら友達と一緒に学ぶことができる場を意図的に作ることで、より理解が深まっています。 対象の児童に対しては、個別の教育支援計画を作成し、年2回の面談を実施し、進捗状況や目標の確認、評価を行い保護者と情報共有を行っています。そして、年度末には保護者の承諾を得て、中学校への引継ぎを行い小学校で行ってきた支援についても説明をしています。 誰もが安心して学ぶことができる場があることが、特別支援教育を進める一歩になってきていますが、この形は最終形ではなく、柔軟に今後も支援を進めていきたいと考えています。安心して学べる特別支援教育に向けて横浜市立六浦小学校 校長 大谷 珠美多様な校内支援の在り方つなげる支援クローズアップ!教 育現 場のCD33420日文 教授用資料平成30 年(2018 年)9 月20 日発行No.12