ブックタイトル教育情報 No.13
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教育情報 No.13
①生徒主体でも教師のガイダンスがあることが有効であること②そのガイダンスには様々なタイプがある。取り組むよう促したり学習者の現状の見える化を図ったりするだけでなく、適切なヒントや説明等を与え、具体的にイメージが持てるようにするなどの「足場かけ」をすること、生徒が自分で取り組めるように問いをより具体的にして説明する等が有効であること③学級全体やグループへの足場かけが大事であると同時に、各生徒のニーズに応じて支援の仕方を分化することが効果をさらにもたらすこと④教師があまりにも誘導しすぎると、生徒の取り組みの妨げになること⑤小中高校生の発達に応じた指導は大事だが、どの学年段階でも効果的援助の方法には共通性があること⑥教師がプロジェクト学習に関する研修等を受け知識を多く持つほど生徒に効果のある指導がされていること 日本でも、教科や学年を越えて学校全体で、あるいは学校間を越えてプロジェクト学習の事例を対話し共有することが求められている。カリキュラムマネジメントによって、1時間ずつの授業計画だけでなく、単元や学期・学年を見通したカリキュラム編成により、プロジェクト学習での探究を可能とすることができる。 日本はこれから人口減少、都市化集中がさらに進むとされている。その中で、子どもたちが自分の学び育った地域につながる課題を自ら探究することで、地域の人々や事物、文化と深くつながること、さらにその課題がグローバルな課題にもつながっていることに気づくことは、学びへの切実感を生み、地域への愛着を生み、地域創生の担い手を育むことにもつながる深い学びとなる。 筆者は、福島や福井、岡山、広島、和歌山等で中学生や高校生、先生方とともに地方創生プロジェクト学習にISNの活動を通して具体的に学ばせていただいている。そこで私が学んだのは、プロジェクト学習では、教師は指導やガイダンスをするだけではなく、地域の人と子どもたちの出会いの場をコーデイネートする学びのエコシステムの環境デザイナーでもあることである。これまで地域の方と言うといわゆる専門家を講師に呼んでという話は多い。だが実際には、生徒にとってより身近で話しやすい地元の大学生や自分たちよりも少し年齢が上の先輩生徒の話を聞き、対話することが、理解をより深める有効な足場かけとなることも多いことである。また、学校全体で取り組むためには、教師個人の力量だけではなく同僚や地域人材を巻き込み力としてのリーダーシップも求められることである。だからこそ、プロジェクト学習は面倒で厄介なものなのではない。協働し教師も子どもたちと共に出会い、学び合い、かけがえのないその子らしさや可能性を発見できる魅力がプロジェクト学習にあるということである。プロジェクト学習が、深い学びを保障する学校の大きな機動力の一つになっていくことを期待したい。<引用・参考文献>文部科学省初等中等教育局教育課程課 2018 教育とスキルの未来:Education2030 (仮訳(案))http://www.oecd.org/education/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf秋田喜代美(2018)「国際協働プロジェクト学習の取り組み:OECD日本イノベーション教育ネットワークの挑戦」http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/11/1407981_11.pdf秋田喜代美・福井大学教育学部附属義務教育学校研究会 2018『福井発プロジェクト型学習:未来を創る子ども達』東洋館書店 秋田喜代美 2019年3月刊行予定 「探究的学びを支援するために」日本教材文化財団研究紀要、48.専門は、学校教育学、授業研究、保育学。博士(教育学)。世界授業研究学会(WALS)副会長。OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN)研究総括としてEducation 2030に参画。学びあう学校・地域のコミュニテイづくりを実践の場に関与しながら研究している。著者プロフィール● 秋田 喜代美 (あきた きよみ)3 地方創生に取り組むプロジェクト学習03