ブックタイトル教育情報 No.13
- ページ
- 5/8
このページは 教育情報 No.13 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 教育情報 No.13 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
教育情報 No.13
人と話すことは少なく、電話でのアポ取り(取材予約)をはじめフィールドワークでは大苦戦する。その地元の大人たちが発表会に来て提言を聞いてもらうことが、生徒にとっては大きな自身となり、地域のために役立つ自己有用感の醸成にもつながり、さらには地元への誇りにつながってきていると信じている。 このような取組を行う過程で、生徒有志から「地元のことをより深く知り考えたい」、「地元を通じた国際交流をしたい」という意見が多く寄せられ、2015年のOECD日本イノベーション教育ネットワークへの参加を契機に、生徒主体で地元の探究活動を実施する「SEEKER」を組織した。“Think Locally, Act Globally”を活動指針として精力的な活動を行っている。 急増する世界遺産熊野古道を訪れる外国人観光客に焦点を当て、実際に熊野古道を歩きその中で外国人観光客や地元の人にインタビューなどを行うとともに、同時に保全の為の道普請(みちぶしん)活動も継続的に行っている。 この中から、国内に定住している外国出身の観光客が一定数あることが分かり、田辺市を中心に在住する外国人にも焦点を当て活動を始めている。この流れで、本校生徒が企画運営を担う形で、2017年6月に交流イベント「T-Cafe~TanabeでTomodachiをTsukuro~」を田辺市、国際交流センターとともに開催し、その後定例イベント化している。 多文化共生社会の実現に向けて、高校生が地元に住む外国人と地元住民を結ぶ架け橋となり、同時に外国人同士のコミュニティーづくりのきっかけとなることを意図してのものであった。出身国を問わず子供から地元の年配の方まで幅広い層の参加者があり、料理体験や文化体験、ミニゲーム、ワークショップなどの相互理解活動を通して友好の輪が広がってきている。 このような取組の成果は、地元での報告・発表会にとどまらず、2017年8月にはOECD関連の国際会議である生徒国際イノベーションフォーラム東京2017で発表し成果の普及に努め、また2018年度のESD大賞の高等学校賞を受賞するなどの評価も得ている。 グローバル化が叫ばれる今だからこそ、地元で教育を受ける最後の機会に、地元のことを誇りに持ち、将来世界に打って出る人材を育てるモデルのプロジェクト学習が広がることを期待している。教職歴19年、地理歴史科(地理)。2005年同校に赴任して14年目。SGH推進室 地域連携/ESD教育担当として地元と学校をつなげたプロジェクト学習の取組を推進。著者プロフィール● 和田 充可 (わだ みつよし)地方でもできる多文化共生社会の実現へ向けた活動05