ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

教育情報 No.13

義務教育学校における「主題- 探究- 表現型」のプロジェクト学習の取組福井大学教育学部附属義務教育学校教諭 木下 慶之・森川 禎彦 学校教育法の改正により2016年から新たな一条校として義務教育学校が加わり、本校は翌2017年4月から附属小(現・前期課程)と附属中(現・後期課程)が統合し、「6-3制」の附属義務教育学校としてスタートした。両校共に、これまで「探究」と「コミュニケーション」をキーワードに協働探究学習の実践研究に取り組んできた。そこで、新研究体制として、「主題-探究-表現型」のプロジェクト型学習の授業づくりと、全教科・領域における9カ年の協働探究カリキュラム開発に取り組み、「研究」によって学校をつなぐことに挑んでいる。 「主題-探究-表現型」の学習とは、単元全体を貫く「主題」を設定し、他者と協働して「探究」を展開しながら、自分たちの学びを「表現(表明)」し、探究のプロセスや自己の変容を省察していくプロジェクト型学習である。各教科・学年における単元実践の記録をもとに、前期・後期課程合同の教科部会で協働探究カリキュラムを再構築していく。 プロジェクト型学習の実践の基盤となっているのが、後期課程の総合的な学習の時間において長年取り組んできた「学年プロジェクト(通称:学P)」というプロジェクト型学習のカリキュラムである。学Pは、以下のような特色をもつ。(1)学年全員で長期的な探究の主題を設定する 「自分たちの将来につながる」「3年間の追究に値する」「学年全員で探究できる」などの条件のもと、学年全員で数ヶ月に渡り議論を重ねて3年間の主題を設定していく。現7学年テーマは「未来創作」、8学年は「職業」、9学年は「心理」である。(2)実行委員が中心となり企画・運営していく 企画、運営していくのは教員ではなく、子どもたちによる学P実行委員である。活動内容によって組織が編成され、学級を解いたチームや部門で活動していく。実行委員は放課後や休み時間に集まり、振り返りと今後の展開の計画を立てる。(3)試行錯誤と表現と省察の場が保障されている 子どもたちは地域に出て取材や交流を行い、試行錯誤しながらテーマを追究していく。そこから学び得たことを文化祭や校外学習などで資料や劇、ポスター、映像などで他者に表現、表明していく。フィードバックされた声をもとに自分たちの取り組みを省察し、さらに新たな展望を見出す。 現在このようなプロジェクト型学習を前期課程1年生から9年間通して展開していこうと、「社会創生プロジェクト」というカリキュラムのデザインとその実践に取り組んでいる。実践を蓄積しながら、子どもたちの発達段階に合わせた系統的なプロジェクト型学習のカリキュラムを構築していく。 我々教師は「探究」や「プロジェクト型学習」を学生時代に経験しておらず、指導方法や展開に悩む。教師主導の1時間区切りの授業を超える新たな授業デザインの思考と技能が必要となってくる。8学年(学Pテーマ「職業」)を担当している森川教諭にどのような実践をしているのか聴いた。木下(以下K):学P「職業」の探究のストーリー特集新学習指導要領とプロジェクト学習「教育実践研究」で学校をつなぐ全教科・領域の9カ年協働探究カリキュラム学年全員が参画するロングスパンなプロジェクト型学習のデザイン子どもたちの探究を支えるための教師の力量形成と協働研究体制06 No.13