ブックタイトル教育情報 No.13
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教育情報 No.13
宮城県多賀城高等学校 校長1988年宮城県高校教員(理科)として採用され,それ以後高校教員、社会教育主事、指導主事を経て、2014年より多賀城高校教頭、2017年より同校校長。著者プロフィール● 佐々木 克敬 (ささき かつのり) 平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、本校が立地する多賀城市では、死者188名及び関連死が30名を数えた。多賀城市の津波は「都市型津波」と言われ、河川への遡上や幹線道路の濁流路への変容、下水道を流路とした海水の流入などにより多くの車両が流出し、仙台港湾岸の工場では設備に壊滅的な被害を受けた。本校では平成28年4月に「災害科学科」を開設し、普通科と合わせて防災・減災に関わる学習を教科及び課外活動を通し学校全体で取り組んでいる。 被災地から発信する未来型の教育モデルづくりを行うパイロットスクールとして、ESDの考えに基づき防災・減災を軸とした地域や社会の課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが考え、実践していく課題解決能力を身につける学習を全校で行っている。特に、教科横断的な学習を基に課題研究、課外活動に取り組み、防災学習、自然科学学習、国際理解学習を3つの柱とした。さらに多岐にわたるボランティア活動を通し地域活性化を目指す試みも行っている。(1) 防災学習 東日本大震災の伝承及び啓発活動として、津波浸水域が書かれたを来校者に実施するほか、地域の小学校・中学校へ出向いて行う「防災教室・キャンプ」、来校者と行う「オリジナルワークショップ」などを行っている。オリジナルワークショップは津波や洪水から、様々な障害をクリアして時間内に避難する図上訓練となっている。これらの活動は、地域や「未災地」へ何が自分たちから発信できるかを考え開発、改良した試みである。(2) 自然科学学習 海洋研究開発機構や東北大学の研究者を講師とした、地球ダイナミズムの観点からの野外実習を行っている。松島や牡鹿半島での地形・地質調査、マツの植生調査などから「津波被害」「植生の変化」「海洋環境の変化」などを、岩手宮城内陸地震跡地である栗駒山麓ジオパークでの調査から「土砂崩れの原因」などについて研究活動を行い、フォーラムやコンクール等で発表を行っている。(3) 国際理解学習 海外から被災地を訪れる方々に、震災当時や復興の様子を説明し、加えて宮城県の魅力を伝える「被災地案内国際ボランティア」や、海外高校生の「ホームスティ」を受け入れる活動、インターネットを介した「防災協同研究」等を実施している。さらにはJICA研修員との防災・減災学習に関する意見交換を通し、各国の生活環境や価値観などの理解を図っている。これらは、海外からの震災支援に対する返答と自らの経験を、海外の防災・減災の一助にしてもらう活動である。(4) ボランティア活動 慰問や復興に関する活動も盛んである。さらに多賀城市と連携した市民に対する啓発活動である「家族で防災!わくわくサバ飯体験」や、七ヶ浜町菖蒲田浜海水浴場再開時に若者を呼び戻す企画としての「セブンビーチ・フェス」、多賀城市公営復興住宅における課題を解決する「クリスマス会」や「独居老人大掃除支援」などを行っている。これらは、地域の課題を生徒生徒自ら調査し、解決していく試みであり、PBL型ボランティアとして広がっており、課題研究にも繋がっている。多賀城高等学校が取り組む防災・減災学習宮城県多賀城高等学校 校長 佐々木 克敬1 災害科学科の設置と防災・減災学習2 防災・減災学習を通したプロジェクト学習自作マップを手に、生徒が設置した津波波高標識を巡る「まち歩き」クローズアップ!教 育現 場のCD33444日文 教授用資料平成31 年(2019 年)2 月20 日発行No.13