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概要

教育情報 No.16

修」、「朝の読書活動」、「家庭での学習習慣定着のための指導」などがあげられます。保護者の意識として学校や教員に求めるものは様々です。前述の「学校における教職員の働き方について」平成28年度の教職員の勤務実態調査結果で示された、教職員の半数以上は過労死ラインを超えるとされる長時間労働を行っていることを、十分に理解しているとは言えず、先ずは保護者もその実態を理解する必要があります。教員の「多忙化」の原因が、学校内外の事務処理等にあることや、本来教員が行うべき業務だけでも多忙であるのに、本来、教員が行わなくても良いことも、善意で行っていることで過酷な労働環境を作ってしまっています。保護者の想像を超える業務を必死に取り組んでいることを知ることが極めて重要であると考えます。 「いじめの問題」は特に深刻です。子どもの健やかな成長を願うのは、すべての保護者の極めて基本的な願いでありますが、残念ながら児童生徒の自死は後を絶たず、私たちの身近で起きている現状があります。日本PTAでも長年この問題に取り組んでいますが、令和元年度には、「いじめ防止対策委員会」を新たに設置し、対策を協議しています。 児童生徒は多くの時間を学校で過ごしますから、学校に於いて「いじめ問題」に直面することは少なくない事実です。学校で策定している、いじめ防止基本方針が単に学校のホームページに記載されているままだけではなく、教員と保護者が共有できるよう、PTAが機会創出することや研修などを行うべきです。日本PTA発行の、「今すぐ家庭でできる、いじめ防止対策ハンドブック」(100円/税別)は日本PTAのホームページから申し込みできますし、PDFについては無料でダウンロードできますので、研修に活用して頂ければと思います。(http://nippon-pta.or.jp/index.html) 知育、体育、徳育を目指す、わが国の教育は世界に誇るべきものです。 子どもが学校にいる間は、すべてが教育であり、その複合的な学びが子どもたちの健全な育成につながっていることを、身をもって感じています。Society5.0やEdTechなどこれまでに経験のない時代を迎える子どもたちが学ぶことは、新しい学びも必要ですが、人としての基礎基本は、家庭や学校で磨かれます。健全な育成を目指し、全人格的な人間形成を進めることは、今も昔もこれからも不変です。教職員もひとりの人間として、心身共に健全で尊敬に値する学びと研鑽を期待致します。 子どもたちを取り巻く環境は、いつの時代も変化し、大人を取り巻く環境も同様に変化しています。であるならば、過去に学び、今を捉え、未来を予測しながら生きていくことが必要です。特に、家庭教育は教育の出発点であることは、不変です。家庭教育の責務を棚上げし、学校に多くを望み過ぎるのは本末転倒であります。 保護者としての当事者意識を今一度持ち、家庭で成すべきことを成す!これが基本です。教員の働き方を改革することは、教員の健全な心身を守ることでもありますが、健全な心身が宿った教員の下で学ぶ子どもは健全に育つとも言えます。それぞれの教育機能を果たすには、保護者の高い意識を醸成していくことが極めて重要と考えます。そのために、保護者は、教育基本法をしっかり読み込むことをお勧め致します。家庭教育、学校教育、そして、社会教育の役割がそこに記してあるからです。 最後になりますが、令和を迎えたこの時期に、今こそ、家庭、学校、地域が各教育機能を存分に発揮する時です。そして、それぞれをつなぐPTAが、その橋渡しとして機能するよう、多くの皆さんがPTAに参画し、社会総がかりで子どもたちを育てようではありませんか。5 教職員に期待すること6 家庭教育に求められること7 社会総がかり1968年生まれ。2007年よりPTA活動に参加。2013年より長崎県PTA連合会会長(4年間)、2013年公益社団法人日本PTA全国協議会 理事就任。以降、副会長、専務理事、副会長を経て 2017年より会長就任2年間。現顧問公益社団法人日本教育会理事、いじめ防止対策協議会委員(2016年度)、中央教育審議会学校における働き方改革特別部会委員など歴任。第10期中央教育審議会委員著者プロフィール● 東川 勝哉 (ひがしかわ かつや)07