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概要

教育情報No.9

用いただくことにより、すべての教職員が食育の大切さを認識し、教職員一人一人が食育に主体的に取り組まれることを期待している。学校における食育の在り方文部科学省では、学校における食育の一層の充実を図るために、関係機関・団体と連携し、栄養教諭を中心に外部専門家を活用するなどした食育のモデル実践プログラムを構築し、食育の多角的効果について科学的データに基づいて検証を行うスーパー食育スクール事業を展開している。平成26年度は、全国の33か所(小学校26校、中学校8校、高等学校5校、中高一貫校3校)42校を指定、平成27年度には、30か所(小学校19校、中学校7校、高等学校6校、中高一貫校3校)35校を指定した。このスーパー食育スクール事業では、小中学校が中心であったこれまでの事業とは異なり、次の世代の親となる高校生への食育の取組を充実させることも必要であることから、高等学校にも指定している。高等学校は、地域や小中学校と連携する機会も含め幅広い可能性をもっており、農業に関する学科、家庭に関する学科、総合学科などの特色を生かして地域ブランドの開発や地域の食文化の継承と発展につながる取組など、国際的な視野をもった人材育成にもつながるものと期待している。そして、食を架け橋とした地域と学校の活動が進むよう生産者団体、企業、大学、研究機関、様々な関係機関等、食に関係する幅広い団体と連携した取組を行うことが求められている。また、すべてのスーパー食育スクールには、それぞれの学校における課題に沿った具体的な目標を設定した上で、取り組んだ内容について、進捗状況や検証結果を分かりやすく示し、食に関する子供たちへの意欲付けや保護者への関心を効果的に高めること、さらには他の学校や地域に対しても広く周知するための方法を探っていただき、積極的に情報発信することをお願いしている。この事業を通して、学校における食育推進の中核として食に関する「プロデューサー(食育の全体計画、給食を教材とした授業計画)」「コーディネーター(地域人材の活用、家庭への啓発)」「カウンセラー(食について子供への個別指導、保護者からの相談)」等の様々な役割を担っている栄養教諭が、取組実践による効果を検証するなど、本事業が栄養教諭の資質向上と配置拡大に向けた起爆剤になることを期待している。最後に、今後の学校における食育は、子供たちが健全な食生活を営むことができる食に関する正しい理解と適切な判断力を養い、望ましい食習慣の定着が図られるよう、また、自校が掲げる教育目標を実現させる観点からも、それぞれの学校の実態に応じた実効性のある全体計画や年間計画の見直しを行い、その計画に沿った食育の取組が、教育活動全体を通じて、組織的に実践されなければならないと考えている。〈スーパー食育スクール事業の概要〉スーパー食育スクール事業では、栄養教諭を中心に外部専門家等を活用しながら、予め具体的な目標を設定した上で、大学、企業、行政機関(農林、保健部局)、生産者等と連携し、児童・生徒の食育を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化理解、国際交流など、食育の多角的効果について科学的データに基づいて検証を行い、食育の一層の充実を図る。事業イメージ学校の指定管理機関文部科学省(教育委員会、国立大学法人、学校法人)連携指導・助言等農林水産省厚生労働省指導・助言・評価等大学・研究機関企業SSS(スーパー食育スクール)・栄養教諭を中心に外部専門家を活用・学校給食の充実(地産地消の推進など)・学校外での活動を重視・具体的な目標を設定・成果の科学的データ分析・食育の多角的効果を実証成果の普及関係団体農林・保健部局生産者・食事の重要性を理解・生活習慣を改善・食品を選択する能力を習得・給食の充実・食に対する感謝の心を醸成・社会性を習得・食文化への理解を深めるなど著者プロフィール●濱田有希(はまだゆき)鹿児島県の小中学校及び県立青少年教育施設において栄養教諭等として勤務した後、平成18年度から鹿児島県農政部農政課において県民を対象とした食育を担当。平成21年度から鹿児島県教育庁保健体育課指導主事として給食管理や学校における食育を推進、平成25年4月から現職、現在に至る。03