ブックタイトル教育情報No.9
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教育情報No.9
教育クローズアップ!の現場福井法教育推進プロジェクト福井大学大学院教授三田村彰前福井県教育委員会教育庁企画幹福井県教育委員会では、平成26年度から2年間にわたり法教育を推進しています。この目的は、福井の子どもたちが、様々な価値観や文化的背景を持つ世界の人々と渡り合う中で、法やルールの背景にある倫理的な考え方を追究する機会を充実すること、学習指導要領の改訂による小学校・中学校における特別の教科「道徳」や高等学校における新教科「公共」の導入の動きの中で、最先端の研究成果等を取り入れながら先行的に法教育のあり方を検討し、全国に法教育の指導方法や教材を提案していくことにあります。そこで、平成26年4月から福井県教育委員会を中心として福井弁護士会・福井地方裁判所・福井地方検察庁・福井大学・敦賀市教育委員会で福井法教育推進プロジェクトを組織し法教育を進めています。今回はこのプロジェクトの活動を御紹介します。小学校・中学校については、敦賀市教育委員会が教科ごとに地域の実情に応じた市独自のカリキュラム・地域教材・指導案を「敦賀スタンダード」として策定しており、すでに小学校や中学校で法教育を取り入れた授業実践が始められています。この「敦賀スタンダード」の改定に合わせて、社会科・道徳・特別活動を中心とした市独自の法教育カリキュラム開発に取り組んでいます。プロジェクトでは、この敦賀市のカリキュラム開発を支援するための活動を進めています。まず、小学校教員や中学校教員に法教育をより深く理解してもらうための研修会を、福井弁護士会の野坂佳生弁護士や福井大学の橋本康弘教授を中心としたワークショップ方式で開催しています。また、小学校・中学校の社会科・道徳・特別活動の指導案作りに弁護士や検察官が参加し、法教育の視点からアドバイスをする授業研究会も実施しています。この指導案に基づいて、担当教員と弁護士や検察官とのチーム・ティーチングによる授業実践を積み重ねています。さらに、「敦賀教育フェア」の中で一般市民を対象に「法【法教育に対する検察官の支援】教育に関する模擬授業」や「親子で学ぶ法教育教室」を実施するなど、地域社会へ法教育を広める活動にも取り組んでいます。次に、高等学校については、このプロジェクト以前から高校生模擬裁判選手権に出場する高校生に対して、福井弁護士会を中心とした法曹関係者による計画的な指導体制が組まれており、普通科高校を中心として高校生のリーガルマインドの育成に役立っています。また、福井県立金津高等学校では、高校生による小学校への法教育の出前授業を実施しています。この出前授業では、「図書館ライオン」などの絵本を使った小学生向けの授業実践が行われており、福井大学の大学院生が全面的に支援しています。本年4月から、福井県立福井商業高等学校では、アメリカで行われている法教育のネゴシエーションをモデルとした「交渉学」の授業実践が進められています。9月からは、弁護士が「交渉学」の授業に継続的に参加し、社会生活に必要な交渉のスキルを育成します。今後のプロジェクト計画としては、特別支援教育における法教育のあり方を、福井県内の特別支援学校で実践研究していく予定があります。また、来年1月には福井県内で法教育に関するシンポジウムを開催し、全国の法教育に関係する人々が意見交換できる場を設定することも検討しています。さらにこのプロジェクトの成果を来年4月以降に一般図書として出版する計画も進んでおり、法教育を進めている全国の先生方・法曹関係者・研究者の皆様のお役に立つことが出来ればと考えています。No.9日文教育資料平成27年(2015年)10月10日発行CD33292