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概要

線 Line No.10

 子どもが「上手に書くためのポイント」を意欲的に見つけることができるようにするため、あえて字形の整わない文字を書く方法を紹介しました。たくさんの子どもたちが、ポイントを発表したくて挙手している状況になれば、次の時間からは、字形の整わない文字を書かなくてもよいでしょう。状況に合わせて、手立てを行ったり、行わなかったりすることが大切です。留意点主体的に学ぶひらがな学習山口大学教育学部附属山口小学校西村光博先生指導のミカタ1みんなでポイントを見つけよう1 子どもたちからアドバイスをもらったら、アドバイス通りにもう一度「つ」の文字を書きます。ここで大切なのは、アドバイス通りに書くということです。つまり、アドバイスをもらっていない部分は、お手本通りには書きません。そうすることで、子どもたちの発言が変わってきます。「この先生には、正確に伝えないとわかってもらえないぞ」と思い始めるからです。 この時、子どもたちがくれたアドバイスは、「①番のお部屋から始まって、②番のお部屋を通って④番のお部屋で終わり」「③番のお部屋には何も書かないよ」というようなものでした。そこで、アドバイス通りに、でも、お手本より小さめに書きました。すると、子どもは「違う、違う」「書き始める場所が違う」などと言います。そこで、「先生は、君たちの言う通りに書いたのだけど…」「どうすればよいのかな」と問い返すのです。すると、子どもは、 一年生にひらがなをどのように教えたらよいのでしょうか。 これまでの自分の指導を振り返ると次のように指示していることが多かったです。「ここから書き始めるのだよ」「よく見てよ」「右に少しあがって、ゆっくり書くよ」。子どもにとっては、教師の書く文字を見る、ポイントを聞くという、受け身の学習になりがちでした。どうにかして子どもが主体的にひらがなの学習に取り組むことはできないでしょうか。 一年生のはじめてのひらがなの学習です。「今日からひらがなの学習だよ。上手に書きたいよね。先生も上手に書きたいんだ」と言って、黒板に「じょうずにかきたい」と書きます。「お手本を見て書くから見ていてね」と言って、あえて字形の整わない「つ」の字を書いてみせます。すると子どもは、「先生、全然だめだよ」と言ってきます。そこで、「先生、上手に書きたいんだけどな。どうしたらよいのかな」と言うと、子どもたちは「ゆっくり書いた方がいいよ」「どこに書いてあるか見た方がいいよ」などとアドバイスをくれます。このように、子どもがポイントを見つけて先生に伝えたくなる状況を作るというわけです。さらに分析的に「つ」の文字を見るようになります。書き始めの位置について「これくらいのお豆二つ分だよ」「この線からお豆一つ分」と教えてくれました。「そうか、ここから書き始めるとよいね」と言いながら、子どもが発言したことを「つ」のカードに書き加えていくとよいでしょう。後で、子どもがひらがなを書くときの手がかりになるからです。 このように、子ども自らがひらがなを丁寧に書くためのポイントを見つけることができるように授業を仕組むとよいのではないかと考えています。先生に教えられたポイントではなく、自分たちで見つけたポイントだからこそ、子どもたちは、ポイントを意識して書くようになります。? の部屋 ? の部屋? の部屋 ? の部屋12