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概要

線 Line No.10

 もし、「おまんじゅうじゃなくて、みかんだよ」と言う子どもがいれば、「みかんにも見えるね」「自分のプリントには、みかんの絵を描いてごらん」というように認めてやればよいと思います。子どもが、ポイントをイメージし、意識して書きたくなるようにすることが目的だからです。留意点 大切なのは、動かし方のポイントをイメージできるにようにすることですから、あまり複雑なお話にする必要はありません。はらいであれば「シュッ」、とめであれば「ピタ」、というような擬態語を大切にするとよいと思います。留意点2ポイントをイメージできる言葉や図を使おう 子どもは、自分たちで見つけたポイントだからこそ、書くときも、そのポイントを意識して書きます。「赤ペンで書いた字をなぞりなさい」というよりも「さっき見つけたポイントできているかな」「◯◯くんは、お豆、何個分って言っていたかな」と声をかける方が、子どもは、ポイントを意識することができます。 子どもが、さらに、ポイントを意識して書きたくなる方法を紹介します。子どもが見つけたポイントをイメージしやすくなる言葉や図を使うという方法です。「と」の文字を学習していたときのことです。二画目の間に大きなマルが入るという子どもがいました。そのような発言   3鉛筆の動かし方もイメージしよう 鉛筆の動かし方についても、ポイントを意識して書きたくなる方法を紹介します。 鉛筆の動かし方をお話にする方法です。「みつひろくんが、『や』を書く旅に出るよ」。一画目、「よいしょ、よいしょ、坂を上るよ」「くるり」「ジャンプ」。二画目、「着地」「ぼよん」。三画目、「ジェットコースターだあ」「シュー、到着」。 このように、鉛筆の動かし方をお話にして示してやると、子どもは大喜びします。楽しいからこそ、書くときにも意識して書く子どもが増えるのです。 私は、これまで、分析的に「お豆◯個分」「③のお部屋には、入らない」というポイントを子どもが見つけることができれば、子どもは、丁寧な字が書けるようになると思っていました。しかし、「おまんじゅう」を描いたり、物語を作ったりするようになってからの方が、子どもは、よりポイントを意識して、丁寧に書いています。やはり、ポイントを示すだけではなく、そのポイントを子ども自身のものにすることが大切なのだなと改めて感じております。が出たときが、チャンスです。すかさず「このマル何に見える?」と問い返します。すると、「おまんじゅう」という答えが返ってきました。それを聞いていた周りの子どもたちの「本当だ」「おまんじゅうに見えるね」といった発言に合わせて、カードに描き込んでやるのです。おまんじゅうに顔を描くと、子どもは大喜びします。顔を描かないときより、描いたときの方が、おまんじゅうを意識して書く子どもが多いので、描くようにしています。二画目の間隔が開きすぎると、おまんじゅうが縦長になるし、間隔が狭すぎると、おまんじゅうがつぶれてしまいます。みんなで見つけたちょうど良い大きさの「おまんじゅう」を求めて、練習する子どもの姿がありました。●参考文献 「なぞらずにうまくなる子どものひらがな練習帳」(二〇一二)桂聖・永田紗戀著 実務教育出版みつひろくんが,『や』を書く旅に出るよ。13