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概要

線 Line No.10

3指導を終えて4書写の指導から、日頃の学習活動へ ⑤ 自己批正の実際 試し書きと題材(教科書の文字)を比較し、基準に照らして自分の課題を見つける活動を大切にしています。ここで大切なことが二つあります。 一つ目は、自分の課題を見つけることです。課題の発見は、これからの子どもたちに必要とされる力ともいえます。自分の現状の文字の課題だからこそ自分ごととなり、主体的に課題解決を図ろうとする姿勢につながると考えます。教科書の「心」と自分の「心」の文字を見比べて、自分の文字のどの部分に気をつけて書けばよいかを明確にしていきます。 二つ目は、基準に照らして自分の課題を見つけることです。基準に関係なく、やみくもに課題を見つける活動となると、本時で身につけたい力にぶれが生じます。自分の課題が明確になったら、自分のめあてを立てるようにします。今回の学習活動では、「心」のそりの部分に着目していくこと、そこが基準であることを確認し、「心」の全体を見るのではなく、そりの部分に特化して学習していくことで、課題解決の視点が、より明確化していきます。 ⑥ 練習用紙の工夫 課題別に練習用紙(かご字や穂先の向きなど)を作成しておき、個々の課題に応じた練習用紙を選んで練習できるようにします。練習用紙で自分の課題解決のコツがつかめてきたら、半紙で練習するようにします。次の三つの課題解決ができる練習用紙を用意しました。  ……ゆるやかなカーブでそりを書くこ    とができる。  ……筆圧の強弱に気をつけて、そりを    書くことができる。  ……穂先の通るところに気をつけて、    そりを書くことができる。 ⑨ 自己・相互評価の実際 自分の課題に応じた練習、批正、まとめ書きを終えたら、試し書きとまとめ書きを比較し、自分のめあてが達成できたか(自分の課題が解決できたか)を自己・相互評価します。比較することで、学習の成果(課題解決の度合い)が目に見えてわかり、自分の文字の変容に子どもたちは驚きます。また、課題を解決できた喜びや達成感が、次への学習意欲にもつながります。 誰もがきれいな文字を書きたい、うまくなりたいと願っています。四月に三年生の児童に聞くと、ほぼ全員が毛筆書写の授業を楽しみにしています。しかし、学習が重なるにつれて、準備と片付けの煩雑さや用具の扱いの難しさ、それに加えて、なかなかうまく書けないなどの理由から、気持ちが離れていく児童も少なくありません。そのような中、「心」の文字全体を課題にするのではなく、そりの部分に着目して学習すること、自分の課題解決に合った練習を自分で選択して行うこと、試し書きとまとめ書きの文字を自己・相互評価して、課題解決ができた喜びや充実感を得ることを学習活動に組み込むことにより、子どもたちの書写への意欲は持続されるのはないかと思います。 書写の指導を日頃の学習活動に還元していくことで、書写を学ぶ意義をより感じることができると思います。書写学習のときの毛筆学習を行う姿勢は意識を高く持てているが、普段の書字の姿勢や鉛筆の持ち方は意識を高く持てなかったり、書写で学習したことが、書写学習のみで完結してしまったりすることのないようにしていきたいと考えます。また、他教科の学びにどのようにつながっているかを、子どもたちと教師で確認することが大切だと考えます。青赤■書写学習カード黄黄 青 赤 四十五分で①?⑩まで終えるのは時間的に厳しいので、二時間続き(九十分)で行うなど、時間を柔軟に扱うようにして、友達との学び合いも大切にします。四十五分で行う場合は、自己批正のみ(⑦)、自己評価のみ(⑨)にするなど、内容に軽重をつけます。15