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概要

線 Line No.10

雪雪雪 雪雪雪雪春風春風春風春風春風春風日水春春風日日日日水 朝という漢字からは、「よる」から「ひる」へと流れる一日の時間の流れ(図①)が、また、雪と春という漢字からは季節の時間の流れ(図②)が、その頻出度から掴むことができる。 この構造図を画用紙やカードに丁寧に纏める。子どもたちは、これらを眺めながら二つの大きな時間の流れの中で作品を楽しんでいることを無理なく意識することができた。 今回は、低学年を取り上げて語彙指導と書写指導の連携の可能性について論じさせていただいた。よる  ↓   朝  ↓   ひる【図①】【図②】想語彙の中から発見する。「自分はこんな気持ちだったんだ」と認知する。「言葉↓気持ち」といった逆のベクトルが生じる。子どもたちの気持ちが豊かになったり、細分化されたりといったことが実感される。てハッピーエンドとなる展開構造を掴み、一枚の紙に語彙を書き出すことで辿ることができた。 そして、語彙を書き出すことで発見した?かなしいともだちかんけい??たすけていることば??うれしいともだちかんけい?さらに友だち関係を支えているユーモアあふれる言葉の?おもしろいことば?までを整理して【友だち関係を表す言葉】に纏めることができた。 この【友だち関係を表す言葉】をアーノルド・ローベルの「ふたりシリーズ」二〇話を並行読書して継続して見つけることにした。 その作業にこそ、書写力が支えとなった。作品を読んでは付箋に語彙を素早く書き写し、今度はメモに重複や重要度を考えて整理していく。最後は、「ともだちかんけいのことばの地図」に丁寧な文字で仕上げる。 一作品だけでなく、アーノルド・ローベルの世界が語彙によって一覧できるものになっていた。 今度は、漢字を軸とした作品構造の把握を「ふきのとう」の実践を例として取り上げる(但し、現行教科書の教材と実践当時の教科書とでは漢字使用が異なっている)。  このように感想語彙を自家薬籠中の物とした子どもたちには、作品を読んでいても感想語彙の言葉や種類が目に付くようになる。 二年生の「スイミー」を学習していると作品の展開構造を感想語彙で捉えるようになる。ご存じのように「スイミー」は、仲間たちを大きなマグロに一のみされてしまうという負の状況からスタートし、回遊を重ねて元気を取り戻し、マグロを追い出す正の状況で終わるお話だ。この作品は、冒頭部の状況設定の「たのしく」が、「ある日」の事件の発端から「おそろしい」「つっこんできた」「のこらずのみこんだ」「くらい海のそこ」「こわかった」「さびしかった」「とてもかなしかった」と負の状況を表す語彙に変わっていく。そして、「すばらしい」「おもしろい」「おもしろいもの」「ひるのかがやく光」へと転換していく。これらの語彙を作品から拾い出し、一枚の紙に状況を表す色とその配置を考えて書き出す。 すると、一目で作品の展開構造が捉えられる。この経験から、「お手紙」の学習でも負の状況から正の状況へ転換点を経23語彙から作品の構造を捉える語彙としての漢字甲南女子大学教授・交野市教育委員。四條畷市・交野市の小学校長、中央教育審議会教科別専門部会委員、学習指導要領解説 国語編作成協力者等を歴任。日本文教出版「小学書写」教科書編集委員。尾﨑靖二おざき やす じ07