ブックタイトル線 Line No.11
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線 Line No.11
やった! できた! という達成感を子どもたちに味わわせる授業を では、子どもたちが魅力的に感じる授業とは何なのか。山内先生に、理想の授業について尋ねてみると、達成感のある楽しさを子どもたちが感じられるかが重要なポイントだといいます。「できたことの喜び、自分の能力が高まっ た実感…。子どもたちが変化を感じられる 授業を心がけてきました。書写の授業は実 技教科ですから、子どもたちに達成感を味 わわせやすい。文字を書くことは、見てわ かりやすく、うまくなったことを確認でき るのが魅力です。だからこそ、この一時間 でちょっと気をつければうまく書けると感 じ、次の時間も、違う文字も、と意欲をも たせやすい授業ができるのです。」 しかし、書写の授業が好きになれない子どもがいることも。きれいに書けなくて、自信をなくしてしまい、苦手意識をもってしまったとしたら…。「まず、何と比べて自信をなくしているのか を考えてみます。教科書のお手本と? クラ スの友達と? 書道教室に通っている友達の 文字と比べたら、自信をなくすのはあたり まえではないでしょうか。私が授業でこだ わっているのは、”他人と比べない”とい うところ。一時間前の自分と比べて、成長 があればいいのです。『”はらい”の筆使 い』『へんとつくりの組み立て方』などと、 ねらいをもって学習し、最初に書いた文 字と一時間後に書いた文字を比べたら、確 実に上達している部分があるはずです。」 教室で掲示する場合も、最初に書いた文字と、うまくなった文字の二種類の掲示をおすすめされています。教室にスペースがない場合は、そのときに頑張った数名を抜粋して掲示することもあったとか。「書写の学習は作品づくりが目標ではないで すから、掲示は作品展ではないことを意識 したいですね。学習の足跡がわかる方法を 取り入れてほしいと思います。」指導の中で大切にしてきたのは子どもたちの笑顔を守ること 長年のキャリアの中で、山内先生が子どもたちと接するうえで大切にしてきたことを、あらためて伺ってみました。「二十三年前に阪神・淡路大震災を経験した ことで、考え方に大きな影響を受けました。 あの地震が、もし学校にいるときに起こっ ていたら、私は目の前にいる子どもたちを 守れたのだろうかと思いました。今の私な ら、震災も経験して、防災教育も学んだの で、あのときよりは、子どもたちを守れる かもしれない。」震災の経験を通して、教員としての確固たる考え方に行きついたのです。「学校にいる子どもたちの、心と体を守るこ とを第一に考えています。元気な姿そのま まで、家に帰ってもらうのが最も大切なこ と。明日も学校に来たいなと思って、笑顔 で帰ってほしい。それが一番の願いです。」 子どもたちの学校生活には、さまざまな場面があります。笑顔を守るために、教員にとって大切にしなければならないのは、やっぱり授業のおもしろさだといいます。「友達同士で遊んで楽しむことも、もちろん 大切。でも、学校生活で一番長いのは、授 業の時間。授業がおもしろくないと、学校 がつまらないものになってしまいます。わ かった、できた、もっとやりたい、と思え る授業をすることが、子どもたちの笑顔に つながると思います。」04