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概要

線 Line No.12

■13■15基線とにじみの調和が特徴の鈴鹿墨は,書道愛好家にファンが多数。■14好みの模様をオーダーすることもできます。 ■独自に開発した1分で磨れる墨,すずか。で、鈴鹿墨が使用されるようになっています。 晴信氏に墨液と墨の違いを聞いてみると、「墨液は手軽ですが、多くの化学物質が使われているため筆の傷みが早いです。それに比べ、自然由来の成分で作る墨は筆に優しいのはもちろん、文字を柔らかく書け、乾いた後に文字が浮き出て味が出ます。また、香料を入れているので磨っている間に心が落ち着き、精神統一できるのもよいですね。毛筆用具は筆なら原料は獣毛、半紙は植物、硯は石…など天然の素材で作られているので、身体に害がありません。こういう道具を子どものころから使うのは心身ともによいことだと思います。」。手入れや保管方法については、「墨は高温多湿が苦手です。墨の磨り口は水分をふきとり、箱の中にしまってください。水分が少しでも残っているとヒビ割れの原因になります。」と、注意が必要です。 地元の高校の書道部とのコラボイベントをはじめ、進誠堂では墨の可能性を追求すべく、建築用に黒塗料を開発したり、墨で染めた革製品を作ったり、地元の和菓子屋さんとコラボをして墨入りクッキーを作ったりと、創意工夫で書道に縁のない人でも墨を手に取ってもらう活動を行い墨の魅力を発信しています。  「墨は書けば書くほど姿形が消えてなくなりますが、書いた文字は後世まで残せます。」と、晴信氏。代々守り継がれてきた伝統とさらなる可能性を広げて進化する墨一つ一つに、匠の細やかな配慮と繊細な技が宿っています。 墨づくりの作業は膠(にかわ)を変質させないために、気温の低い十一月初めから四月の早朝に行います。松や竹などを燃やした煤と、接着材としての役目をもつ動物の皮や骨などを煮込んで固めた膠、香料を混ぜ合わせ、粘土のような墨玉を作り、木型に入れて成型します。そこから灰の中や空気中で乾燥させ、そして梅雨明けまで藁で編んで最終乾燥、さらに、三年以上寝かされた墨に釉薬(ゆうやく)を塗り、彩色を施して完成させます。この工程を一人の職人が一貫生産するというのも鈴鹿墨の特徴の一つです。煤の割合などで色合いやにじみ方を変えることができるので、使う人のニーズや細かな要望に合ったものを作り出すことができ、その種類はなんと三百以上も揃います。 墨職人として唯一、伝統工芸士として認められている亀堂氏は、日本初となる、鮮やかな色が出る八色の色墨を考案。水や色を混ぜ合わせれば自由な発想で無限の表現ができるとあり、書道家だけでなく、絵画アーティストや染料家、建築家など多くの人に愛される革新的な墨へと発展しました。また、自身の子どもがまだ小学生だったころ、書写の授業を見学すると全児童が墨液を使っていたことに大きなショックを受けた亀堂氏。そこで生み出したのが、たった一分で墨が磨れる墨「すずか」。限られた時間のなかで磨れ、しっかりと墨色が出るうえ、筆を洗い忘れても穂先が固まらず筆を傷める心配がありません。そんな試行錯誤の末、今では鈴鹿市の多くの小学校11 10 915 1314DATA有限会社 進誠堂■■墨の基本は仮名用,漢字用,青墨,松煙墨の4タイプ。■「亀游庵」では,300種もの墨をメインに書の用具を販売。●住所:三重県鈴鹿市寺家5-5-15●電話:059-388-4053●営業時間:9:00~16:30●休日:土曜,日曜(予約があれば営業)☆鈴鹿市伝統産業会館にて, 第2・4日曜に,鈴鹿墨の製造実演を実施中。9 10 11121219