ブックタイトル線 Line No.7
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線 Line No.7
Q普段、どんなことを研究されていますか?仮名を中心に研究しています。なぜこの筆跡が人の心をとらえ、この書はどのようにして生まれてきたのかということに関心があります。Q書の面白さは、どんなところにありますか?昔の作品は、それこそ絵が描いてあって書も書いてあり、その文言も文学作品に適うようなものがあったり、読んでいくととても面白い日記だったりする場合もあります。この人はどんな思いで書いたのかなとか、どんな場面でこんなことを書かずにはおれなかったのかなとか。手紙であれ作品であれ、自分の心にとまるものには、何らかの理由がありますよね。それはどんなところから来るのかなって考えていくと、そこから人や時代が見えてきます。Q書は、日常生活にあふれていますね。たとえば社会見学に出かけると、そこに碑が立っていたり、看板があったりしますよね。普段いつも目にしてるのに、それらを書の面白さとして取り上げる機会ってないと思うんです。それらを見かけたときは、みんなで共有し、文字や言葉に向き合う時間にするといいですね。教室の中の学習だけじゃなくて。Q書写は、書(書道)と異なり、正しく整えて書くことが大きな目標です。文字や言葉を大事にするといったとき、場面とか、伝えたい内容とか、意思の疎通をトータルにはかるものとして「どう書くか」を子どもたちが自分で判断できるようにします。教科書は、その技能を身につけるための役割を果たさなければなりませんし、新しい教科書ではそのあたりが実現できた感じはしています。その一方で、子どもたちがそのまま素で書いた、普段着の書き文字・書き言葉に対して「それはダメですよ、教科書のように書きましょうね」って、それこそが書き言葉なんだっていうように捉えられることがあります。学習指導要領の「正しく整えて書く」ことはもちろん大切ですが、それとは別に、子どもたちがもっと自由に書くことを楽しんだり、書かれたものから何かを読み取ったりするような側面を書写のなかで作っていくことも必要なんじゃないかと。たとえば、昔の人が書いた手紙を見て、書かれた文字から感情を読み取る感性を養うというか、そういった意味では、書写と書(書道)に共通する部分があるかもしれません。やはり伝えたいことがあってこそ書くわけですし、伝えたいものを読み取るからこそコミュニケーションが生まれるっていう、文字や言葉はそういうものであってほしいと思うんですね。Q新しい書写の教科書は、どんなことに重点を置きましたか?今回の教科書では、言語活動を大切にし、国語との連携・連動を大事な柱にしました。それは今まで、こうあったらいいのにと思っていたところがありまして。現場を見て感じていたのは「書写=書き方」というように、国語と書写が全く連動してなくて、単にお習字と捉えている現場が多かったということです。切り取られた書写教育っていう感が強かった。生きた言葉を伝えるための一つの大事な場所として、書写は重要だし、書写から発信していける言葉の豊かさを見直してもらえる教科書にしたいと思ってました。Q学校現場には、書写に対する苦手意識を持つ先生や子どもたちがいらっしゃると聞きます。教育の基本の方針が自分の内的な動機と結びついたとき、やりたい、書きたい、知りたいっていう気持ちが本東京学芸大学教授。奈良教育大学特設書道科卒業、同大学院修士課程(美術教育)修了、大阪大学大学院博士課程(芸術学)単位取得退学、文学博士。かやこ萱のり子言葉を豊かにするために、いま私たちにできること巻頭インタビュー2