ブックタイトル線 Line No.7
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線 Line No.7
前号までの連載「国語からの提言」で、国語科における書写の位置を示すために、歴史的に紐解いたり、中教審の基本方針や学習指導要領から引用したりした(「線」第3号)。今回は、国語力というステージ(舞台)を構成する要素の一部としての位置付けから考えてみたい。それは、今回のテーマである「アクティブ・ラーニングと書写指導」を考えるときに必要な前提であるからだ。▼国語力とはまず、国語力は、「○○力」という柱によって支えられている。例を示そう。「説明力」というのは、説明を聞いたり、話したり、書いたり、読んだりするトータルな力として位置づく。この柱は、三角柱であるとイメージしていただくとわかりよい。一つの面から見ると、話す・聞く能力であり、他面から見ると書く能力であるといった具合だ。この三角柱は、二層の構造を持つ。上部()は学習指導要領の三領域の指導事項の内容が占めていて、下部()は伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項が占めるというように構成されている。さらに、底面(上の面)が言語活動ということになるが、言語活動はこのような多くの三角柱(○○力)によって支えられた国語力というステージ(舞台)で多くは展開される。下部は、上部のように三領域で区分けされてはいない。どの領域にも共通する内容で構成されている。実は、厳密にいうと上部も三領域で共通するものがあり区分けできないところがある。そこで、このような一体となった三角柱という立体図形で表すことが最も適しているというわけだ。もちろん、この構造は、静的・固定的なものではなく相互に関連し合って形成されていくものである。▼書写と本文指導さて、本題である書写力だが、下部構造に位置する。もちろん、言語活動や学習活動を支える役割を果たすのだが、同時にそれらの活動を通して、書写の課題や学習内容が導き出される双方向の関係にある。下部構造の中で特に密接な関係にあるのが、書写と文字指導になる。様々な文字は、知識として習得し、それを実際の文字として書く技能を経て獲得されていく。これは切り離すことができない。また、同時に書く技能は具体的な言語活動の中で活かされてこそ「獲得した」といえるものだ。これらは、それぞれ文字指導・書写指導・三領域での指導と考えられるが、相互に関連が深く、むしろ一体となったものと捉えるべきである。以上の書写の国語科における位置と取り巻く構造を前提として「アクティブ・ラーニング」を視野に入れ、そのキーワード(以下に【】で囲んでいる)を軸に、これからの書写指導を考えてみたい。最初に取り上げるのは、〈学習プロセスとしての書写指導〉である。まず、【学習の見通しと振り返り】だ。子どもに意欲を持たせるためには、常に見通しと振り返りが必要となる。教科書を開いたら、この一年間の「学習のめあて」(どんな力を付けるのか)を明確にしたい。そして、「もくじ」から、いつ、どんな順番でそれらを学習するのかを見通したい。つまり、学習課題と学習計画の確認を行う【主体的な学び】のスタートである。一年間の見通しに続いて、単位時間についてだ。単元やその時間のめあてを確認して、それを実現する学習プロセスを示す。一連の学習の後にはセルフアセスメントを行い、知識と技能を総合的に振り返って、どんな力がついたのかを自己評価する。単元によっては、それらが学習活動にどう活用できたかも評価する。こういった学習方法を身につけることは、全ての教科などで必要とされる【汎用的なスキル】であり、学力の重要な一部である。このような主体的な学習方法を用いて、書写と文字指導を総合した実践(注1)を紹介したい。私はこれを「漢字先生」と名付けている。この実践は、私が校長であった学校で、当時新任二年目の先生が行ったものだ。私の著書(注2)とアドバイスを参考にして文字の獲得と書写能力の活用、語彙力、コミュニケーション力などの向上を意図して取り組んだ。現在では、私が指導に入らせていただいている学校を中心に多くの学校で前述の意図の実現と子ども司会で授業を運営する実践の橋渡し的役割として取り組んでいただいている。自己学習ができるワークシートを作成し、進行マニュアルを用意して、それに沿って漢字一字ずつクラスの子ども全員が交代で「先生」となって進める。その学習の流れは、次の通りである。12アクティブ・ラーニングと書写指導連載第一回4