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概要

線 Line No.7

▼主体的な学習を目指して担任の思いは、機械的になりがちな漢字学習を主体的なものにしたいということであった。そのための【道具】として作成したのがワークシート1であった。子どもたちは漢字先生の活動をイメージし、明確な目的の下に持っている国語力を総動員してワークシートを完成させた。そのためには、漢字辞典や国語辞典、言葉図鑑、類語辞典、国語や書写の教科書などを駆使する必要に迫られた。この実践で作成した言葉ノート(学習の流れ)がびっしりと一杯になると言葉辞典を作る新たな課題に取り組んだ。索引や小見出し、言葉マップ(言葉の仲間を集めて地図にしたもの)をつけて、手作りの辞典を完成させた。その後、この手作り辞典は、いつも机の中に入れられて、子どもたちが作文を書いたり、様々な学習に取り組んだりするときにフルに活用された。おわかりいただけたものと思うが、子どもを前に立たせる状況を作ることで【学習意欲】が格段に高まり、【学び方を学ぶ】ことでクラス全体の学習姿勢に大きな変化が生まれた。受け身ではなく、自らも司会進行している立場になって積極的に応えたり、アドバイスをしたりして、授業を共に創っていったことがポイントである。そして、ただ漢字を習得するだけでなく、語彙として漢字を捉えて言葉集めをし、正しく整った文字となるように書写の能力(筆順、点画、気をつけて書くポイントなど)をきちんと位置づけることにつながっている。▼最後に従来、文字指導と書写指導が分離しているとの課題指摘があったが、「漢字先生」は、それを統合する学習活動になっている。また、読んだり、書いたり、意味の広がりを捉えたりといった多様な言葉の力をトータルに発揮し、しかも子どもが主体的に取り組む学習プロセスでなければアクティブな学習は達成できないことを示している。ささやかな実践だが、書写指導を改善する起点となるものと考えている。子こりのやか子こりの萱やか子こりの萱注1:藤原由絵「習った漢字の言葉事典を作ろう」実践国語研究二〇〇七年四月明治図書発行注2:尾﨑靖二『「言葉の力」を高める新しい国語教室入門』二〇〇六年八月明治図書刊プール学院大学教授。教育委員会指導主事、四條畷市・交野市の小学校長、交野市教育センター、中央教育審議会教科別専門部会(国語)委員、学習指導要領解説国語編作成協力者などを歴任。おざきやすじ尾﨑靖二学習する漢字の確認(自分たちが書いたカードで「漢字」を黒板に提示する)読み方の書き方(何通りあるかを確認する)書き順の確認(順番を唱えての空書き)画数の確認(と関連させて)気をつけて書くところの確認(正しい文字の形や形を整えること、はね・はらいや点画などを正しく書くために注意しないといけないことをワークシート1に記述したうえで、みんなに教える)言葉クイズ(漢字を使った楽しいクイズを作り、みんなに答えさせる)言葉集め(その漢字を含んだ熟語や言葉を、時間を定めて別紙に書かせる)言葉の発表とノートへの記入(わからない言葉があれば質問するように指示し、「おたすけまん」に答えてもらうようにクラスの中でやり取りをする)言葉の意味確認言葉の読み上げ漢字先生用のワークシート5