ブックタイトル線 Line No.9
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線 Line No.9
「雲」の秘密を探ろう (古典①雁塔聖教序:?遂良)◆文字の特徴や構成を捉える(硬筆)。◆①の特徴や性格について話す。手本とシンクロ! (古典②九成宮醴泉銘:欧陽詢)◆教科書の手本を見ながら半紙に書く。◆②の特徴や性格について話す。別人になって書いてみよう◆書いてみたい手本を選び、特徴や 性格を考えて、半紙に書く。単元の構成(全3時間)第3時(本時) 第2時 第1時別人になりきって書こう大阪府枚方市立蹉?東小学校 藤井美和子先生指導のミカタ 児童観 本学級は、毛筆学習に意欲的に取り組む児童が多い。書き終えた後に自分の注意点を手本に書き込んだり、範書時に一緒に手を動かして練習したりしている姿も見受けられる。手本に忠実に書く児童もいれば、その単元のめあてを意識しながら各々の性格がよく出た文字を書く児童も少なくない。しかし、手本の扱いについては様々で、じっくり見ながら書いている児童もいれば、配布された手本は床に置いたまま自分の感覚で文字を書いている児童も見受けられる。他者の文字のいいところを認め合える一方で、手本から何をどのように学ぶかということに対する重要性の意識が、児童の中に十分に育っていないことも課題の一つである。 指導観 手本を見ながら文字を書くとき、文字には必ず個性が出る。その個性的な文字が客観的に整った美しい文字と捉えられるためには、字形や筆圧、線質に何らかの法則や、汎用性があると考えられる。小学校書写においては教科書の手本を題材として扱うが、この学習をもとに古典に触れ、古典においても同じ法則をもって書かれているということや、古来より伝わるそれぞれの文字がどのような特徴や美しさを持っているかを知り、書き手の性格などに想像を膨らませながら、別人になりきることで新たな気持ちで手本に臨ませたい。いて法則化し、ほかの文字にも生かすという単元である。教科書の学習を終えた後に古典作品に目を向け、古来より伝わる文字の学習を重ねることで、その普遍性や変わらぬ特徴を知り、その一方で各々の作品の個性や独自の美しさに触れ、書作品の持つ世界観を広げられるように本単元を設定した。 題材観 古典①は弾力豊かで、太細・強弱の変化が多いのが特徴的であり、児童の楷書の概念を変化させることに適した題材であると考える。一方、古典②は縦長背勢で建築性豊かな構造となっており、古くから楷書の極則として用いられている。二つの古典を題材に、印象や特徴、書き手の性格などを想像しながらそれを真似て書くことで、児童自身の表現の幅や、今まで学んできた楷書の世界を広げられるようこの題材を選んだ。 書作品を制作することは自己表現の一つであり、自分の中にある思いや構想が手や筆を介して紙面に出てくることによって作品ができていくと考える。しかし、いざ書いてみるとなかなか思い通りにならず、自分の思いと表現技能とのギャップに苦悩している。 自分の表現技能の幅を広げるためにはどうすればいいか。その方法の一つが「臨書」である。古典作品の文字の構図や余白、筆法を写し取る作業をしていく中で、古典作品の美しさの所以やその特徴、作者の性格や書かれた時の気候など、様々なものを想像しながら古典作品に近づけていき、普段の自分にはない表現方法を身につけていく。そして、古典の基本の上に自分の表現を重ね合わせ、作品制作に臨んでいる。 臨書は地道な鍛錬であり自己表現からは遠いものと思われがちだが、書作品制作には欠かせない基礎であり、自分の中の表現や考え方を広げていけるものであると考えている。 本単元は教科書「部分の組み立て方(上下)」をもとに構成している。「 」という上下の部分の組み合わせで構成された文字をどのように書いていくのかを「 」と「 」を比べて児童自らが違いに気づ 1「臨書」を基点とした実践的授業研究(第四学年)2単元について316