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概要

線 Line No.9

 「書写の教科書は見ただけで書きとうなる」「こんな気持ちのよいお手本はめったにない」…と、関岡先生の書かれた文字を見るなり担任の子どもたちの笑顔に引き込まれてしまいました。 県書写教育研究大会の講師としてお招きすると今日のお話の続きを是非にとの声が大きく、いつの間にか高知県のおかかえ講師になってしまいました。十一年も。いつの講演でも行き届いて分かり易く、先生のお人柄あふれる明るい口調で大会を盛り上げて下さいます。中味も豊かな研鑽を積まれたするどい実績から生まれる内容にうっとり拝聴しました。 三十一回大会では講師授業までいただき、書写を学ぶ楽しい雰囲気まで味わわせていただきました。 「命のある限り淡路に来させてもらいます。」と淡路の書写に全身全霊注いでいただきました。褒めて伸ばすことをモットーに、いつも穏やかで優しく接してくださった先生に感謝しかありません。怒った顔など似合わない先生でした。私の学校が式典をする折には、落款印と朱肉を持参し、色々なアイディアで懇切丁寧に教えてくださったことなど忘れられないことばかりです。十五年位前、淡路のホテルで個展を開いていただき、書への思い、楽しさを教えていただいたのが昨日のことのようです。我が家にも折々書を送っていただき、家宝にしています。〈なにくそ〉永遠の心の支え アイドル先生 今も見守ってくれているようです。 関岡先生にはじめてお会いしたのは、今から二十一年前、教科書の編集会議のときでした。当時、先生は七十才を超えておられましたが、お話しされる一言一言には熱い思いがあふれていました。以来、「書」のことはもちろん、教科書づくりの手ほどきをいただいたことは、私の一生の宝物です。 先生は、子どもから高齢者を対象に「生活を楽しむ書」をたくさんご執筆されました。先生の魂がこめられていたように思います。今、私はご息女の関岡昌子先生にお導きいただいています。ありがたいご縁です。書写の教科書として、関岡先生の理念をきちんとつないでいきたいと思います。 二十年程前、関岡先生の公開授業を拝見して、先生が子どもたちに生きる力と喜びを、書くことを通して教えてこられたのではないかと思った。 机間指導で、「おっ、上手に書けたね」と言われて、その子どもに、皆に見せるよう指示される。子どもは、「なんで私が」という顔つきで、最初の書とほめられた書を胸の前に掲げる。すかさず、「最初と比べてこんなに上手になった」とほめられる。一瞬、子どもの顔がくずれる。こうして何人もの子どもを引き上げられる。 最後に、「今日、書いた字を家の方に見せてください。きっとびっくりして喜ばれるから」と言って授業を終えられる。 人を思いやる心が伝わる授業であった。 私が関岡先生の講演会や研究会にお供でご一緒させて頂いたのは、兵庫県の担当になってからである。 特に忘れられないのは、研究会が終ったあと大雪になり、池田師範の後輩校長と城崎の三木屋で飲まれた時、雪見障子越しに見る雪景色の見事さを喜ばれる関岡先生の無邪気に楽しげなご様子である。 また、阪神淡路大震災の直後の事である。大変苦労して出かけられ、泊まられた宿で大好物の蟹を食べられた時のことだ。他に客もない旅館が出した大量の蟹に目を白黒させて「こんなに美味しい蟹を、こんなに腹いっぱい食べさせてもらったのは初めてや」と大変喜んでおられたお顔も忘れられない。一期一会関岡猪蔵先生を偲んで 関岡猪蔵先生のご逝去から、早いもので一年が過ぎました。ご指導を仰いだ日々と、その偉大な功績、温かいお人柄を偲びつつ、ご縁の深かった方々との新たな絆を深める機会となれば幸いです。書写を好きにさせてしまう関岡先生の字高知市小学校元校長濵田一郎関岡先生との思い出大阪書籍株式会社 元営業課長高津征郎永遠の心の支え アイドル先生淡路市小学校元校長隈下妙子関岡先生、ありがとうございました日本文教出版「小学書写」教科書編集委員宮本榮信思いやりの心 - 関岡先生大阪書籍株式会社 元編集部長赤穂光男18