ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

線 Line No.9

ー子どもが詠んだ句を上手にほめるには、   どうしたらいいのでしょうか? 句に限らず、例えば料理を作った、絵を描いたとして、誰かに感想を言ってもらえたら嬉しいですよね。素直に「美味しいね」「上手に描けたね」など、まず一言、素直な感想を伝えるといいのではないでしょうか。私ならその後で「この句はどういう想いから作ったのですか?」と聞きます。やり取りを繰り返すうちに、その作品を十分味わうことになるのではないでしょうか。何も感想がないのが一番悲しいですよね。ー川柳の魅力は、どんなところにありま   すか? 川柳は、約二百五十年の歴史があり、庶民の詠んだもの、言い得て妙な、納得の名句、後世に残したい作品が多くあります。例えば〈子が出来て川の字なりに寝る夫婦〉などは情景が思い浮かぶし、表現力がありますよね。寝ている親子がちょうど川の字に見えたというのはとてもいい目の付けどころ(笑) 一方で、ダジャレや流行語がただ入っている五・七・五も川柳とよばれてしまう場が時々見受けられるので、それを我々がうまく方向修正していきたいなと思います。そして、味わいのある川柳が教科書に載ってくれたらいいなと思っています。ー川柳以外で、たとえば特技や趣味はあ   りますか? 幼稚園から小学校六年生まで、書道教室に通っていました。高校では書道サークルに所属し、そこで色々な作品作りに励みました。それがとても楽しかったので、書くことが好きなんだと思います。 例えば、高校の文化祭では、自分で和紙に絵の具で色を染めるなど、まず、紙からアレンジし、そこに句を書いて、作品として貼り出しました。それがどんどん溜まっていくので、折りたたみ式の作品集になって。自分の作品が形になる楽しさや充実感を通して、やはり書くことは表現なんだと感じましたし、何よりかけがえのないものになりましたね。自分の気持ちを一文字一文字に込め、そして一つの作品としてまとめることができたからこそ、今も筆を持って書いてみようという気持ちを失わないでいられるのかもしれません。ー文字を書くとき、気をつけていること   はありますか? 私は、短冊や色紙に書くときは、余白がどれだけ生きるかをイメージして書きたいと考えています。それを意識するかしないかで、一枚の短冊や色紙を後から眺めたときの雰囲気が随分違うのではないでしょうか。十七音で表現していない部分に、あえていわなかった言葉、説明しなかった場面があるのと同じで、余白は大切ですよね。 あとは、筆記具にも気を配ると気分よく書けますね。その時々の目的、自分の心の方向に合った筆記具を傍らに。手書きにフィットする用具を探すことも楽しいことではないでしょうか。ー最後に、読者にメッセージをお願いし   ます。 川柳は十七音のメッセージです。ぜひ気軽に一句詠んで、どなたかにプレゼントしてみてはいかがでしょう。「ことば」は「こころ」。日頃からそう思いながら、これからも川柳の道を歩んでいきたいと思っています。川柳作家。神戸市出身。恋を詠んだ作品が幅広い世代から支持されている。多数の公募川柳の選者・監修を務める一方で、子どもたちへの川柳教室やワークショップを開催。文化庁文化審議会委員。(一社)全日本川柳協会会員。やすみりえ05