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概要

RooT No.14

関数指導の工夫(前編)関数の意義を踏まえた指導を目指して福岡教育大学准教授岩田耕司本号と次号の2回にわたって関数指導の工夫をテーマにした論説を書くことになりました。前編としての本号を始めるにあたり,読者の先生方には,まず,次のような問いを投げかけてみたいと思います。Q.先生はなぜ算数もしくは数学の授業で関数を教えておられるのですか。どのような目的で指導を考えるかによって,工夫の仕方やその価値も変わってきます。それゆえ,前編としての本稿では,まず,関数の意義やそれを踏まえた指導について考えていきたいと思います。1.関数の意義さて,私たちはなぜ関数を考えるのでしょうか。なぜ2つの数量を関数とみるのでしょうか。その本来的な意味は,ある数量を別の数量に「置き換える」という行為にあるように私は思います。例えば,小学校で円の周の長さや面積の公式を習いますが,なぜこのような式をつくるのでしょうか。円周=直径×円周率円の面積=半径×半径×円周率それは,円の周の長さや面積が,本来,「測りにくいもの」だからでしょう。つまり,これらの式は,直接測ることの難しい周の長さや面積を,測りやすい半径や直径に置き換えている式と見ることもできます。このように,置き換えるという行為に着目して学習内容を見直してみると,算数・数学では至る所でその考えが使われていることが分かります。比例や反比例など「数量関係(関数)」領域の指導だけでなく,他の領域の指導においても,このような「決まれば決まる」,「変われば変わる」という関係に目を向けることが大切です。先ほどの円の周の長さや面積について言えば,円周や面積と直径や半径との関係を調べる前に,円の周りの長さや大きさは何に伴って変わるかを考える場面があってもよいでしょう。中学校では,その式を関数の目でとらえ直すことが考えられます。(『中学数学』1年P.115)このことに関連し,中学校学習指導要領解説数学編には,関数指導の意義として,次の2点が挙げられています([1],p.45)。・身の回りの具体的な事象を考察したり理解したりするためには関数的な見方や考え方を必要とする場面が多いこと。・いろいろな関数についての理解及びそれらの学習を通して養われる関数的な見方や考え方は,数学のいろいろな分8 2014 No.14