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概要

RooT No.14

系統性・連続性を意識した算数・数学の指導「内容のスパイラル」と「方法のスパイラル」福岡教育大学教授飯田慎司1.はじめにRooT第14号のテーマは「系統性・連続性を意識した算数・数学の指導」です。このテーマで論考を寄せることになり,次の3つの観点からテーマに迫ることが必要だと感じました。それは,1「内容の系統性・連続性」2「内容のスパイラル」そして3「方法のスパイラル」です。以下では,この3つの観点を意識した算数・数学指導について述べていきます。そして,最後に,3の「方法のスパイラル」を意識した特設型の問題解決指導について,具体例を示しながら,その教材開発の方法等について提案してみたいと思います。2.「内容の系統性・連続性」この観点を理解することは算数・数学指導の基本です。小学校で学んだ算数の知識・技能をもとにして,中学校数学を学ぶことができるようにカリキュラムができているからです。算数の「数と計算」で学んだ(分数までを含めた)四則計算を使って,中1の「数と式」の学習が可能となることは,この観点の最もわかりやすい例と言えるでしょう。平成24年度版『中学数学1』の1章「正の数と負の数」,2章「文字と式」を見て下さい。分数係数の「正の数・負の数の四則計算」やそれを前提とした「文字式の計算」が載っていることに気づくはずです。これらの単元の学習が終わって3章「方程式」に入るときには,小数や分数を係数に持つ一次方程式を解くために必要な文字式の計算ができるようになっていることが求められているわけです。『中学数学2』の2章「連立方程式」においても,「内容の系統性・連続性」を指摘することができます。「加減法による解き方」と「代入法による解き方」を学びますが,どちらの方法でも共通に言えることを考えると,「1つの文字を消去している」ことと同時に,それによって,中1で学んだ「1次方程式」に変形していることにも気づくことができるでしょう。3.「内容のスパイラル」学習内容の単なる反復(繰り返し)ではなく,そうした過程を通して,次第に学習内容のレベルが上がっていくような場合を「内容のスパイラル」と呼びたいと思います。現行の算数科の学習指導要領では,「内容のスパイラル」の観点が重視されており,学年別の内容の構成(一覧表)においても,「スパイラルのため学年間で重複させる内容」がわかるように書かれています。「簡単な分数」(2年)や「簡単な比例の関係」(5年)は,わかりやすい例と言えるでしょう。学年別の内容の構成(一覧表)を小学校算数から中学校数学へと系統的・連続的に