ブックタイトルRooT No.14
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RooT No.14
系統性・連続性を意識した数学の指導内容領域間の系統性・連続性と学年間の系統性・連続性愛知教育大学教授山田篤史1.はじめに指導では,系統性・連続性は常に意識される必要がありますが,具体的な考察では,それが「何の・どのような」系統性・連続性を指すのかを明確にしておいた方がよいでしょう。例えば,特定の概念の獲得にかかわる数時間の指導を考える場合には,課題や思考の連続性が意識されがちですが,単元や学年全体での指導の在り方を考える場合には,内容領域や考え方の系統性が意識されるでしょう。両者は互いに関係しますが,ここでは紙面の関係で,後者のより大きな立場から考え,我々が心がけたい指導のポイントについて議論してみましょう。2.学年内の内容領域間の系統性・連続性学習指導要領における内容領域は,A.数と式,B.図形,C.関数,D.資料の活用,という順番ですが,教科書の章構成はこの順番ではありません。中学校のA領域とC領域の関連は深く,例えば,一次関数の指導を考える場合,グラフの交点を求めることを考慮すると,事前に連立二元一次方程式の指導をしておきたくなります。数学の系統性とその系統に沿った学習の連続性を意識すれば,将来の学習を想定し,そこで扱う内容を事前に準備するようにして指導した方が何かと都合が良く,教科書の単元構成は,こうした指導内容の系統性に基づいています。中3の教科書などは,C領域の二乗に比例する関数に加え,B領域の相似比・面積比や三平方の定理なども,A領域の二次式・二次方程式と結びつき,しかもそれを学ぶために,直前に因数分解や平方根の単元が用意されるなど,教科書の大半が,二次に関わる数学的内容を連続的に学べるように,章構成がなされています。問題は,こうした当該学年の学習内容の繋がりが,(教師にとっては自明でも)生徒にとっては必ずしも自明でないことでしょう。とすれば,学年内の指導内容の繋がり(領域を横断する内容の連続性)を,機会がある度に生徒に示してみることは,第1の指導のポイントになるでしょう。もちろん,教科書には,「目次」の直前に「この本を使って学習するみなさんへ」という,当該学年の学習内容の概説と既習内容との関係を説明したページがあります。学年当初に学習内容の系列の全体像を掴むことは大切ですが,より重要なことは,日々の指導の具体的な学習内容が,過去と将来のどのような学習内容に繋がっているのかを,事ある毎に学習できる機会を作ってあげることでしょう。例えば,三平方の定理の学習場面で二次方程式を復習として取り上げることは普通のことでしょうが,逆に,二次方程式の授業のどこかで,生徒6 2014 No.14