ブックタイトルRooT No.14
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RooT No.14
■内容領域間の系統性・連続性と学年間の系統性・連続性■に,別の章で二次方程式を使いそうな場面を教科書から探させてみることは,面白い作業かもしれません。中には,巻末の「黄金比」(『中学数学3』,pp.202-203)を見つけ出す生徒もいるでしょう。そこには相似という未習の概念も現れますが,それを敢えて取り上げることは,中3の学習内容の全体的な繋がりだけでなく,数学の歴史的系統性・連続性を感じ取らせられる良い学習機会になるかもしれません。3.内容領域の学年間の系統性・連続性上述のように,学年内の学習内容の連続的な繋がりを把握するには,当該学年の教科書という良い教材がありました。ところが,学年を横断して登場する内容の系統性,例えば,中学校における関数の系統性の把握などは,複数学年の教科書を横断的に見なければならないため,生徒には困難な作業です。例えば,中学校1年生の比例・反比例に関して言えば,比例の素朴な概念は小学校5年生に現れますし,明確な変数・定数概念を除けば,比例・反比例のかなりのことを小学校6年生で学習します。また,図形領域でも,素朴な合同概念は小学校5年生で,相似に通ずる図形の拡大・縮小は小学校6年生で学習します。現行の学習指導要領は,スパイラルな教育課程編成を旨としていますので,中学校数学の幾つかの内容は,小学校で活動的に学習している場合があるのです。さらに,A領域における一連の文字式の計算の学習では,新たに学習するかのように見える法則・公式も,実際には,具体的な数計算で既に使っている計算法則・規則を改めて文字で記述しているだけだという見方の育成(算数・数学の関係を捉え直し)には,小学校の教科書紙面や具体的な数計算と文字計算との比較活動を行うなど,学校数学全体の系統性・連続性を見越した,かなり積極的な指導が介在する必要があるように思います。「新たな学習は,既習事項を基にして,既習事項の上に積み上げる」というのは指導の基本ですが,上の事例を見てみると,振り返るべき既習事項は中学校数学だけに限らないことが分かります。その意味で,系統性を意識した第2の指導のポイントは,既習事項の確認場面や指導の出発点で小学校の指導内容や教科書紙面の活用も考えてみる,ということでしょう。極端な例では,同一(類似)概念を扱っている小・中学校の教科書紙面を比較してみることから指導を始めてもよいのではないかと思います(中学校の同一領域の教科書紙面を比較してみることはもちろんのことです)。4.おわりに先述の「黄金比」のような興味深い題材を取り上げ,そこでの課題解決に,その都度,相似や二次方程式・平方根といった道具を学ぶという,課題の連続性を重視した指導も一方では考えられます。しかし,そこには,そうした課題に即した個別的な学習内容を数学の系統に組み入れるという,それなりに難しい学習も必要になってきます。そうした学習は,是非とも「課題学習」で実現させてみたいものです。2014 No.147