ブックタイトルRooT No.15
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RooT No.15
どんなに歪めて書いたところで,結論になる関係は成り立ちます。ここに「なぜ」の問いが生まれてほしい。そもそも証明とはそのような「なぜ」を探究するものだからです。もう一つは,証明を書いた後に,その一般性を明らかにする活動も重要だと思います。証明の文章は,問題の条件を満たす図であればいかなる図であっても成り立っています。このことを確認することが,証明の一般性を認識するよい機会になります。証明の文章,証明に使われる図ともに,一般性という視点で眺めてみて,その独特な性格を捉えていく活動が,証明の意味を理解する上で重要だと思います。3.仮定と結論の意味を作図を通して学ぶただし,図を多く取り入れるだけではあまり効果がありません。「結果の図」を多く見たところで,仮定や結論の意味は生徒には伝わらないからです。Ax xBC図2例えば,二等辺三角形の底角が等しいことの証明では,△ABCにおいて二辺ABとACが等しいという条件の下,∠Aの二等分線を描きます。これを作図レベルで考えれば,前者はABとAC「だけ」を等しくすること,後者は頂点AからBCへ垂線を下ろすのでも,BCの中点とAを結ぶのでもなく,まさに角を二等分します。ここでは作図の過程を意識に上らせることが重要だと思います。作図したこと「だけ」を仮定し,意図して書いたはずのない辺の長さや角の大きさの相等性までもが決定されているかどうかを調べている,という意識が,仮定と結論の意味へと転換されるのだと思います*3。4.証明の構想と図形を見いだすこと中学数学で扱われる図形は複合図形ですが,算数には実はそれほど複合図形は出てきません。面積の学習で図形を切ったり線を入れたりして扱いますが,証明活動で必要とされるような,目的意識をもって複合図形の中から,ターゲットとなる図形を選び取る力まで育成されているようには思えません。中学2年の図形の証明は,合同条件を当てはめれば,合同の性質によって結論が成り立つものが多く,この場合,論理が複雑であるというより,むしろ図を選び出す方に難しさがあるように思います。図を選ぶ力は,証明の構想と大きく関わっていますので,意識して指導していきたいことです。5.証明を読むこと証明を読むこと,吟味することは,証明する能力の向上につながります。このとき,図形の選び方が複数ある問題を通して,証明を書き,読む力を同時に培うのがよいのではないかと思います。全国学力学習状況調査H26では,次の問題(図3)が出題されています。8 2014 No.15