ブックタイトルRooT No.15
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RooT No.15
「説明すること」の指導教師への4つのメッセージ環太平洋大学学長中原忠男1.何のための説明か今日,算数・数学科の授業において教師から「○○について説明してください。」というような発言がよくなされます。ところで,このとき何のために,説明を求めているのでしょうか。これについて,まずは次のような答えが考えられます。A1.クラスのみんなに説明内容を伝え,理解を得るためA2.その上で,クラスのみんなに正否の判断,よりよい説明,修正などを求めたりするためしかし,こうした理由だけであれば,何も子どもたちに説明を求めなくても,教師が説明をしてもよいはずです。子どもたちに説明を求めるからには,さらに深い理由があると考えられます。それを考えると,次のような教師の授業観・指導観が浮かび上がってきます。B1.子ども主体の授業にしたい。さらに,次のような答えも返ってくると考えられます。C1.子どもたちの思考力を育成したい。C2.子どもたちの表現力を育成したい。C3.子どもたちの説明力を育成したい。このように説明を求める理由・ねらいはさまざまなもの,さまざまなレベルが考えられます。もちろん,これらは排他的なものではなく,共存的なものです。しかし,理由・ねらいによって説明することの指導もさまざまな論が展開されることとなります。そこで,何のための説明か,まずはこれを十分に踏まえてその指導に当たることが求められます。ここでは,近年,重視されているCレベルの理由・ねらいに焦点を当てて,以下の稿を進めていくこととします。2.説明できるために必要なものは何か説明活動には記述によるもの,口頭によるもの,両者をあわせたものなどがあります。いずれの場合においても,説明できるためには,説明する内容について考え,表現することが必要になってきます。このことから,説明力を育成するためには,まずは思考力,表現力の育成が必要であることが分かります。思考力と表現力が備われば説明力がつくかと言うこと,それだけでは十分ではありません。説明活動,とりわけ口頭による場合には度胸とか,場慣れとか,聞き手に応じた対応などが求められるからです。それを踏まえて,思考力,表現力,説明力のある子どもたち,3者の関係を考えると図1のようになると考えられます。