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概要

RooT No.15

■「文字を使った説明」の指導■きるときは,とにもかくにも,できるだけ簡単な式に変形するという態度とそのことを実現する技能を身につけておく必要があります。実際は「簡単」の意味が問題なのですが,n+(n+1)+(n+2)よりも3n+3の方が,簡単な式であることは納得されるでしょう。つぎに,結果の3n+3の意味を解釈することです。一つの方法は,「3n」も「3」も3の倍数であるので,その和も3の倍数であるという解釈です。誤りではありませんが,3の倍数の和が3の倍数であることを認めるかどうかが問題になります。よくくり望ましい方法は,3n+3を3で括って,3(n+1)と変形する方法です。この変形が「形式的な変形」か「目的的な変形」かはその生徒の思考に依存するところですが,どちらにしても括弧で括ることがポイントになります。さらに,3(n+1)が3の倍数であることを主張する根拠として,n+1が自然数であることを意識し,そのことに言及する必要があります。n+1が自然数であることは当たり前のことです。そうではなく,3(n+1)は,「n+1が自然数でなければ,3の倍数になり得ない」ということが、ここで問題になっていることを理解させる必要があります。実際,n+1が2/3だと,3(n+1)は2であり,3の倍数ではありません。さて,一応の説明が終わった後に,結果をふり返ることも大切にしたい活動です。「連続する3つの自然数の和は3の倍数」という結果を「連続する3つの自然数の和は真ん中の数の3倍の数」ということにも気づいてほしいところです。このとき,教師側の模範解答の結果だけでなく,素朴な解答の結果を対置し,その共通点を問うことが有効であるように思います。(n-1)+n+(n+1)=3nn+(n+1)+(n+2)=3(n+1)Q2において,問題場面の式による表現や,結果の解釈,その後のふり返りにあたっては、「連続する自然数」「倍数」などの意味を考えることが必要になります。他方,最初の式を簡単な式に変形することは形式的になされ得ることです。つまり,指導にあたっては,意味を考えさせるべきところと,形式的に処理できるところを明確にし,それぞれに必要な思考や技能や態度を育成していくことが大切です。Q3 nを自然数とする。n2+nが奇数であることを示せ。ここで,重要な式変形はnで括るということです。因数分解を学習していない第2学年の段階では,発展的な内容となりますが,分配法則a(b+c)=ab+acを活用すれば,nで括ることができます。これも形式的に行うことのできる式変形です。nで括って,n2+n=n(n+1)と変形するだけで,この数が「連続する2つの数の積であること」→「どちらかが偶数,どちらかが奇数であること」→「積が偶数であること」がわかります。このことは,n2にら+nという式を一生懸命睨み付けても,2014 No.155