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概要

RooT No.15

なかなか気づきにくく,式を形式的に処理することのよさが出ています。この他にも,n2+nが「nの倍数である」ことや「n+1の倍数である」こともわかります。4小学校と中学校の学習の相違上で述べた「形式的処理」は,文字式のよさの一つであり,この処理の有無が小学校での文字の学習と中学校での文字式の学習との本質的な相違といえます。Q4○を正方形の形に並べました。これらの○の数を上手に数えよう。○の数が20であることは数えればわかることです。そうではなく,正方形の1辺の○の数が多くなっても通用する(「上手に」の本意)数え方を考え,言葉や式で表現することがここでの主眼です。式で表現すれば,例えば,次のようなAからEの考えがあります。(小5まで)(中学校での表現)A 6×2+4×2 2n+2(n-2)B 6+5+5+4n+(n-1)+(n-1)+(n-2)C 6×4-4 4n-4D 5×44(n-1)E 6×6-4×4 n2-(n-2)2左側の表現については、いつでも使えるようにするために,1辺の数(この問題では6)を使って式を表すことが大切です。例えば,Aは6×2+4×2を6×2+(6-2)×2と表していきます。小学校第6学年で文字による表現を学習すれば,6の代わりに文字で置き換えることで,(×の省略や2乗による表現などを除き)中学校での表現が実現できます。裏を返せば,授業がここに留まってしまうと,小学校と中学校の取り扱いに相違はないことになります。中学校での学習では,これらの表現を簡単な式に変形することができます(Eだけが第3学年の範囲)。式を簡単にすると全て4n-4となります。全て同じ式になるのは当たり前のことなのですが,生徒にとってはちょっとした驚きのようです。Cは多くの生徒が思い浮かぶ考えでしょうが,この考えが出ていなければ,結果の式4n-4を読み取ることで,「n個ずつ数えて,重複した角の4個を引く」という考えが見いだせます。もしDの考えが生徒から出ていないときは,式変形のよさをアピールするチャンスです。4n-4を4(n-1)と変形して,このことを図で考えさせます。この式の結果から,n個ではなく,n-1個ずつ囲んでいくと,4回で全ての○を落ちや重なりなく囲むことができ,Dの考えが明確になります。小学校では,こうした展開は不可能です。例えば,Bの「6+5+5+4」の考えに着目させ,「6個の塊から4個の塊に1個移動すれば,全て5個の塊になること」を図や式から気づかせる,という展開になります。引用・参考文献*1文部科学省『中学校学習指導要領解説数学編』(2008),pp.88-89,教育出版6 2014 No.15