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概要

RooT No.15

「説明すること」の指導探究活動としての図形の証明1.証明の指導と証明することの指導図形の証明の指導を考えるとき,「証明」の指導と「証明すること」の指導を区別してみたいと思います。小関らは証明の意義が理解できたという場合に次のことを挙げています*1。1「論証の一般性」の理解(定理は全称命題であること,証明には一般性があること,図は代表であること,実験・実測による方法の特徴の理解,「体系」(局所的な構造化)の理解),2「論証の仕組み」の理解(仮定・結論,証明の意味,根拠となることがら,定義の意味,循環論法は不合理であること)。しばしば証明指導は,書き方に重点が置かれる場合がありますが,これだけでは上のことはカバーできません。例えば,書き方だけを習得しても,証明の意義や必要性が分からなければ,帰納的な推論でもよいと考え続ける生徒がいることが,同じく小関らの研究で明らかにされています。問題が少し変わっただけで証明の書き方が生きて働かないことは全国学力・学習状況調査で明らかです。従って,証明の形式的な指導に陥ることなく,証明を本来人間が行う探究活動として考えて,その中で証明の意味を培っていく必要があると思います(証明することの指導)。つまり,証明の必要性を感じ,前提や証拠を明らかにして,証明を構想し,人を説得したり自分の疑問や不思議さを納得させたりする活動です。岡山大学准教授?????????????岡崎正和????????図1は,証明活動を推測と論駁を取り入れた活動として表現しています*2。例えば,小グループ内で,互いに作った証明を見せ合い,誤りを正したり,証明を比べたりして証明を評価する活動を取り入れれば,証明を改善するよい機会となります。以下では,証明することの指導を実現する幾つかのポイントを述べたいと思います。2.証明と図との相互作用?????? ????????????????図1推測と論駁に基づく証明活動証明の対象は「すべて」に関わる全称命題が中心です。図形の証明には,証明と図が登場する訳ですが,これらは対応しますので,どちらも一般性を有します。つまり,証明は任意の対象や関係を説明する文章であり,図の要素や要素間の関係も一般を表します。ところが図は一つしか書かれないことが多く,証明と図の一般性を理解する機会が乏しいように思います。一つには,問題の条件を満たす図をいくつか書いてみることは重要だと思います。2014 No.157