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概要

RooT No.17

証明とを,一般性の点から比較対照する問題が出され,その正答率は26.4%でした。これらを考え合わせるならば,生徒は「個別具体を超えて,一般性を捉え,説明する力」に課題があると考えられます。生徒をアクティブにするにも,何を身につけることにアクティブであらねばならないか,教材研究レベルでしっかり吟味しておく必要があるでしょう。図1H27全国学力・学習状況調査A 2 (4)図2H27全国学力・学習状況調査B 2 (2)3.文字式による証明の指導例えば「2つの偶数の和は偶数である」という命題は,具体的な数の例を幾つか調べれば予想がつくことであり,改めて証明する必要性を感じにくく,したがって生徒がアクティブになりにくい教材でしょう。授業では,最初に2+4,8+6のような具体的な数で考えた後,教師は「いつでも成り立つ」といった類いの言葉を駆使して,文字式を用いた説明を考えるように,生徒を促すと思われます。そして,次の説明を作り上げていきます。m,nを整数とすると,2つの偶数は,2m,2nと表される。このとき,その和は,2m+2n=2(m+n)となる。m+nは整数だから,2(m+n)は偶数である。従って,2つの偶数の和は偶数である。この説明は,2つの「一般的に表した偶数」をたした結果が再び偶数になる,ということを「一般的に」説明した文ですが,このことをどのように理解させるかは,指導上大きな問題となります。具体的な数を用いた式と比較して,一般性の有無を議論するのですが,個別具体の例でよしと考える生徒には,文字式による説明はあまり興味をもてないことかもしれません。ここではしばしば見られる誤答に着目します。mを整数とすると,2つの偶数はどちらも2mと表せる。このとき,その和は,2m+2m=4m=2×2mとなる。mは整数だから,4mは偶数である。従って,2つの偶数の和は偶数である。友だちが作った説明と自分の説明とが異なる場面では,「どちらの説明が正しいのか,なぜ同じことに2種類の説明が存在するのか,2つは同じことを述べているのか,それとも違う説明なのか,違うとすればその違いは何か」といった探究の必要性や目的意識をもちやすくなります。これら8 2015 No.17