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概要

RooT No.17

■算数・数学科におけるアクティブ・ラーニング■の疑問をきっかけにして,様々な問いを生徒にもたせていきたいものです。「なぜ2m,2nと表さなければならないのか,2m,2mではなぜよくないのか」,「2(m+n)という表し方は,2×2mと比べて何が違い,いったいどんな数を表しているのか」。これに加えて「2m,2m」は同じ数しか言い表せないこと,mとnは文字として違うが,数として同じになる場合があることなども議論していく必要があるでしょう。このとき代入という作業や,図で表すといった説明も有効になります。ちなみに,同じく平成27年度の全国学力学習状況調査A問題の1 (3)の問題や,10 (2)の問題のように,代入すればすぐに答えにたどり着く問題の正答率がそれぞれ76.2%,65.8%と低い数値になっていることにも注意が必要です。検算活動を含めて,文字に数を代入して具体に下ろして考える活動は,文字式を理解する上で重要であり,日常的な取り組みが求められます。いずれにせよ,文字式とその説明の「一般性の認識」に関わる目的意識と探究のテーマをはっきりさせた上で,課題探究を効果的にする活動形態としてアクティブ・ラーニングを考えていかねばならないと思います。4.探究をまとめ,発展させる数学的活動は,目的意識をもつ活動であり,授業には様々な「たい」があるのが理想です。「予想を確かめたい」「既習と未習をつなげたい」「理由が知りたい」「他の数や図形で通用するか確かめたい」。最後の活用の部分は,思考力や表現力の育成において特に重要と思われます。説明の仕方が1つの内容だけで簡単に身につくとは思えません。探究をまとめて,発展させる態度が必要でしょう。2つの偶数の和について探究したなら,それを振り返りつつ,偶数と奇数ではどうか,奇数と奇数ではどうか,同じような説明ができるだろうかと探究を広げていきたいものです。偶数と奇数では,2(m+n)+1,奇数と奇数の場合では,2(m+n+1)となり,文字式の読みがより複雑になっていきます。命題の一般性を説明する一般的説明であるということを実感するまで,生徒が主体的な探究を重ねていくことが必要です。チーム分けして探究し情報交換したり(ジグソー),教えあったりする等,協同学習の様々な技法が役立つでしょう。最後にもう一度。生徒をアクティブにするにしても,数学的に重要な内容が,生徒の目的意識や「問い」として,活動・活用の連続として探究される必要があります。その時はじめてアクティブ・ラーニングによって生徒の能力が育まれることでしょう。【引用・参考文献】中央教育審議会(2012.8).「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け,主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」.文部科学省.中央教育審議会(2014.11).「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」.文部科学省平成27年度全国学力・学習状況調査2015 No.179