ブックタイトルRooT No.17
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RooT No.17
という視点に括弧書きで「アクティブ・ラーニングの視点からの不断の授業改善」という文言が付随していることから伺えます。4.ALの具体化を巡っての注意上記の議論は,かなりの部分が教育課程企画特別部会のものであり,それらが,どこまで次期学習指導要領に反映されるか分かりません。ただし,ALに関する議論を鏡として,我々の指導を見直す機会とするのは重要でしょう。先ず,教授・学習の在り方について次期学習指導要領がより積極的に踏み込んでくる可能性について指摘しました。しかし,算数・数学では,平成10年版学習指導要領に「算数的・数学的活動」という文言が入って以来,そうした考え方に馴染みはあります。「算数的・数学的活動」は,「児童・生徒が目的意識をもって主体的に取り組む算数・数学にかかわりのある様々な活動・営み」と捉えられますが,学習者がそうした活動を通して学習を進めているのであれば,それは十分ALになっているように思われます。実際,先述の中教審「大学教育質的転換答申」(中央教育審議会, 2012.8)の「用語集」におけるALの定義は次のようであり,具体的な形式も算数・数学には馴染みのあるものばかりです。「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」(p.37)これらを踏まえると,児童・生徒の主体的・能動的参加を伴った算数的・数学的活動を通した学習の実現が,今後はより一層求められることになるのでしょう。次に,我々の不断の授業改善を実践するときの視点はどのような所に置いたらよいのでしょう。これについては,松下(2015)の議論が役立ちます。松下は,Bonwell &Eison(1991)のALの一般的特徴を再編成して下の6つにまとめる際,彼らの「学生にある物事を行わせ,行っている物事について考えさせること」(p.2)というALの定義を引用しています。この定義では「行っている物事について考えさせること」の部分が重要で,単純に何かを「行わせること」だけではALとなり得ないということが分かります。そうした前提を踏まえると,下のリストは,我々がALの視点から指導を考えたり評価したりする際に有効な指標・評価基準となり得るでしょう。(a)学生は,授業を聴く以上の関わりをしていること(b)情報の伝達より学生のスキルの育成に重きが置かれていること(c)学生は高次の思考(分析,総合,評価)に関わっていること(d)学生は活動(例:読む,議論する,書く)に関与していること(e)学生が自分自身の態度や価値観を探2 2015 No.17