ブックタイトルRooT No.17
- ページ
- 9/12
このページは RooT No.17 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは RooT No.17 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
RooT No.17
中学校数学科におけるアクティブ・ラーニング1.アクティブ・ラーニングアクティブな学習と言うとき,アクティブでない学習があるかのようなニュアンスが感じられますが,どんな学習理論においても,学習内容の「意味」を理解するには,人の主体的な活動が必要であるとされ,学習という現象はそもそもアクティブであると考えるのが普通です。逆に,受動的立場で一時的に得た知識は,記憶の忘却という,それに続く認知的現象にさらされることでしょう。アクティブ・ラーニングとは,「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって,認知的,倫理的,社会的能力,教養,知識,経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習,問題解決学習,体験学習,調査学習等が含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」(中央教育審議会答申, 2012)とあります。ここでは,「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,そのための指導の方法を充実させていく必要があると主張されています(文部科学大臣諮問, 2014)。岡山大学大学院教授岡崎正和中学校数学科の指導では,既に「数学的活動」の意義が謳われ,その点から実践が積み重ねられています。ここでは特に,数学的活動の定義「数学的活動とは,生徒が目的意識をもって主体的に取り組む数学にかかわりのある様々な営み」における「生徒が目的意識をもつこと」に注目したいと思います。2.何のために人をアクティブにするのか数学的活動は,授業の中に含めればよいというものではなく,数学的な探究の学びを実現し,生徒の思考力と表現力を高めることへつながることが重要です。言語活動の充実が謳われ始めた頃の教室では,話すこと自体が目的化されたような話し合い活動が散見されました。アクティブ・ラーニングも同様の事態にならぬよう,注意が必要でしょう。生徒をアクティブにすることを通して,どんな力をつけるのかは,生徒の困難性の分析とセットで考えられるべきです。例えば平成27年度の全国学力・学習状況調査のA問題とB問題に,文字式の証明に関する類似の問題が出され,正答率はいずれも低いものでした(A 2 (4)57.8%,B 2 (2)44.2%。図1,図2は問題の一部)。また図形の問題でも,対頂角が等しいことについて,分度器で測った場合の説明と,2015 No.177