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概要

RooT No.18

とが求められています。(同調査報告書の解答類型をみるとそれがあります。)1問題設定についてまずは問題の設定についてみていきましょう。この問題には,「何を使って考えなさい」や「何かで判断しなさい」という具体的な記述がありません。すなわち,場面だけが示されていて,データを基に自分で判断しなさい、という問いです。そのため,何を使うかや何で判断するかは自分で決めていかなければいけません。統計はこの段階がとても重要です。(実世界の問題を数学の問題に読み替える数学化の段階で,数学的には仮定をたてる段階です)問題をよく読みますと「次の1回でより遠くへ飛びそうな選手を選ぶ」というこの文章がキーセンテンスであることは分かります。「より遠くへ飛ぶ」だとしたら「今まで,より遠くへ飛んだ経験のある人」と解釈すれば,判断の基準が2人の最大値(最高到達点)の比較をして,大きい方になります。(この段階のことです)しかし,ここでは「より遠くへ飛びそうな」と「そうな」という語が使われています。これはどう解釈すればよいのでしょうか。「そうな」というのは,「可能性や予測」を表す言葉です。数学で,可能性と言えば確率です。「遠くへ飛ぶ確率が高い方」と解釈することが求められます。中学1年では確率は未習なので,範囲での比較や相対度数での比較となります。中学2年生で確率を習った後では,相対度数を確率と考えて比較することが出来ます。しかし,これだけでは数学の上にのせるには不十分です。そうです,「遠くへ」の定義をどうするかです。ここでは,2つの考え方を紹介しましょう。1つ目は,「最高のパフォーマンスの精度」と考えて,それぞれの最高記録近くの記録を20回中何回出しているかを比較することです。もう1つは,「他の基準を基にして考える」ということで,これには,K点を用いてみたいと思います。JOCのホームページ*2によると,スキージャンプは「飛距離点は,そのジャンプ台のK点を基準に換算する」とあり,ジャンプ台によってK点が変化するとあります。そして,ジャンプ台の大きさとして,いくつかの階級があるようですが,ここでは,よく聞く,ラージヒルについて考えてみましょう。長野オリンピックで使われた白馬ジャンプ競技場は,K点が120mらしいです。「遠くに飛ぶ」を「120mを超えたら」と定義することもできます。これで,何を使うかや何で判断するかを決めることが出来ました。2判断についてこのようにして,判断基準が決まれば,後は,データをみるだけです。「より遠くへ飛びそうな」を「120m以上飛ぶ確率が高い」と定義しますと,それぞれの選手が120m以上飛んだ回数は,原田選手7回船木選手7回となります。実は2人は同じ回数を飛んでいます。このままでは判断が出来ませんので,先の判断基準を見直さなければいけません。そうです,これが「解決過程や結8 2016 No.18