ブックタイトルRooT No.18
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RooT No.18
これからの統計教育学習指導要領の改定を見据えて成蹊大学名誉教授中西寛子1.はじめに昨年8月26日に示された教育課程企画特別部会の「論点整理」には次期学習指導要領に関する論点が示されています。いくつかのキーワードがある中で,ここでは,「各教科の関係」,「アクティブラーニング」,「ICT」を取り上げ,統計教育とこれらについて言及します。さらに,今年5月19日の日本学術会議数理科学委員会数学教育分科会の提言「初等中等教育における算数・数学教育の改善についての提言」の中で触れられている「統計教育の学年ごとの学習の流れ」について記します。2.統計学と数学現学習指導要領のもとで,中学校の数学科目の学習が平成24年度より始まりました。現場の教員から,統計を教えるのは難しいと聞くことが多くあります。それにはさまざまな理由があるでしょう。まずは,教員が学生時代に統計学を学んでいないことがあげられます。そして,統計の答えが1つに決まらないこともしばしば議論になります。もっと重要な理由として,統計を数学の一つとして捉え,数学として説明しようとしすぎているのではないかということを指摘したいと思います。統計学と数学との違いは何でしょうか?たとえば,コインを10回投げて8回が表である確率を計算します。難しい確率の問題ではありませんので約0.044と計算できます。ここまでは数学で学ぶことです。ところが,この確率がかなり小さいため,実際にこのような状況に遭遇した場合「このコインは歪んでいるのではないか?」などの疑問を持つことがあります。そして,さらに調べてみよう,騙されないようにしようと考えるときに,統計学が必要になります。統計学が数学と違う側面を持つのは,このように現実に起こったときに考える問題提起や問題解決を含む意思決定に深く関係しているためです。つまり,単なる計算では終わらないということです。欧米など国際的には統計学は数学と独立した教育カリキュラムを持ちます。日本では統計が数学教科の学習の中で教えられていることは事実なので,その立場で考えることが必須です。本稿では,その立場を超えることなく「これからの統計教育」について意見を述べます。3.問題解決のための統計的考察問題解決のための統計的考察にはPPDACサイクルというフレームワークの重要性が知られています。PPDACとは,Problem(問題の明確化),Plan(調査や実験の企画),Data(データの収集),