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概要

RooT No.18

グでの公表です。日本学術会議の提言の意味することからお話ししましょう。日本学術会議が,我が国の全学術分野の科学者を内外に代表する機関であることはご存知と思います。日本学術会議の役割の一つとして「政府に対する政策提言」があり,政策提言を勘案し,各省庁は日本の方向性を考えることになります。次期学習指導要領の改定についても本提言の影響力は大きく,無視することはできないでしょう。算数・数学教育に関係する方々にはこの提言を一読されることをお勧めします。この提言にある「要旨」には次のようなまとめがあります。『本提言では,第1章に本提言の目的を述べ,第2章に算数・数学教育の改善の視点について説明した後,第3章で算数・数学教育の改善のための具体案を小学校,中学校,高等学校の順に述べる。その後,第4章では特に問題の大きい統計教育について改善の方向性を提案し,第5章では算数・数学科における評価の在り方について述べる。』第4章では,すべてを使って統計教育の問題点と今後の学習の提案が示されていることは,算数・数学教育において特筆すべきこととして捉えなければなりません。日本学術会議の提言には,現学習指導要領の欠点である学年ごとのつながりの不明確さが指摘されています。また,好ましい学習の流れが『統計的な問題解決における「分析目的」,「分析手法」,「表現方法」の3つの軸を設定し』示されています。P.5表1に日本学術会議「提言初等中等教育における算数・数学教育の改善についての提言」(平成28年5月19日)別表1を示します。実際の表の最後の列にはPPDACについて記されていますが,それについては省略しました。表1を見ますと,現在より指導する内容が多くなっていることがわかります。小学校では,二次元表,ヒストグラム,累積などが,中学校では,四分位範囲,箱ひげ図,時系列などが入っています。これらが含められた主な理由は海外の動きを考慮したためですが,他の科目の資料を理解するために必要とされる統計手法の充実をも考えて示されています。今でも統計をはじめとする数学の内容を教える時間が足りないと聞く中で,これらの内容の増加が実際になされたときには大事になるかと思います。しかしながら,世界的に人材不足と言われているデータサイエンス関連の人材育成のためには早くに学ぶべき知識です。5.アクティブラーニングと統計教育表1に基づき,日本文教出版『中学数学1』にある内容(P.232~235)について考えてみましょう。(図2,図3)図2『中学数学1』P.232~2352 2016 No.18